忍び街警備隊   完結

□忍び街警備隊 5
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時の流れに翻弄され
何も出来ずに流される。


【忍び街警備隊 5】



千聖視点


舞美ちゃんに警備隊に誘われてから
早くも半年が過ぎていた。

「舞ちゃん」
「うん、だいぶ貯まったね」

「そろそろ、言おうか?」
「うん」

貯金が目的だったから
そろそろ、旅を再開させる事を伝えに行く事になった。


「千聖?」
「しーっ」

ドアの向こうから真剣な切羽詰った声がする。

「機会を改めようか」
「わかった」

その瞬間、ガチャっとドアを開けて
舞美ちゃんが顔を出した。

「あれ?ちっさー」
「あ」

「今、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」

「話があって」
「わかった、どうぞ」


つまった、千聖の変わりに話を進めてくれた舞ちゃんに
感謝した。


でも、中に居たのは、ほかのチームのリーダー(キャプテン)
とサブが集まっていた。

「舞美ちゃん…いいの?」
「んーまぁいいと思う」

「いや、よくないでしょ」
「機会改めてくるから」

そういって、帰ろうとしたら
引き止めたのはえりかちゃんだった。


「待って、話あるんでしょ?」
「そうだけど…」

「大丈夫、話は終わったばかりだから」

そういわれたら、かえるに帰れないし
緊張するなか、言いにくい事を言うことになった。



「やめちゃうんか…」
「さみしくなるね」

そういってくれたのは、モーニングの
高橋さんと新垣さん。

「でも、ちょうどよかったかもね」
「そうだねぇ、本当によかった」

今度はberryzの清水さんと嗣永さん。
いつもと雰囲気が違う桃ちゃんに違和感を感じる。


「確かに、いいタイミングですね」
「うん、寂しいけどね」

スマイレージの和田ちゃんと福田ちゃん。


「…寂しくなるね」
「体に気をつけるんだよ?」

各チームの代表から言葉をもらった
最後に、舞美ちゃんとえりかちゃんからも。


そのすぐ後、解散になって。
舞美ちゃん、えりかちゃんと宿舎まで帰ることになった。


「ねぇ、ももちゃんの様子おかしくなかった?」
「うん、静かだったね」

「まじめな話してたからだと思うよ」
「あ、着いた」

えりかちゃんはそういったけど
なんか、違う気がした。

部屋に入れば栞菜と愛理が喧嘩していた。


「こらっ!」
「「喧嘩じゃないよ!」」

はもった台詞が笑えた。
叱られ慣れすぎて対処がすばやかった。

舞美ちゃんが苦笑いしながら
うちらが旅に出ることを説明してくれた。

「そっか、居なくなっちゃうのか…」
「寂しくなるね…」

「大丈夫だよ!」
「うん、また来るもん」

そういったら、舞美ちゃんが
怖い顔して向き合ってきた。

「ダメだよ、もう…戻ってきちゃダメ」
「へっ」

「どんな、うわさを聞いてもここに居たことは
忘れて、旅を続けてね」
「何、言ってるの?…舞美ちゃん?」

わけの分からない舞美ちゃんに困惑して
ふと、後ろが目に入った。


その時に見た、栞菜と愛理の表情が脳裏に焼きついて離れなかった。



翌日、メンバーに見送られて私たちは旅立った。
砂漠を抜けるのに他の街へ寄ったときに聞いた話しで

「おい、あの最強って言われてた警備隊全滅だってな」
「あ、聞いたよ」

「全国の殺し屋を雇って潰したらしいな」
「ひでぇ、話だよ…」


舞美ちゃんが言いたかったことが分かった。
桃ちゃんの違和感も分かった。


「千聖…」
「…結局、うちらは仲間なんかじゃなかったって事か」

「千聖!」
「だって、そうじゃん!…分かってて何も言わずに…」

「違う…違うよ、千聖」
「舞ちゃん?」

「私たちには…家族が居たからだよ」
「…」

「でも、仲間としては見てもらってたよ?
舞、わかるもん!」


あの、冷静な舞ちゃんが大粒の涙を流して
千聖に問いかける、必死に訴えかけてくる。

悩んでるのは千聖の性に合わない。


「ごめん…戻ろう」
「でも…舞美ちゃんは」

「そんなの聞くかっての」
「さすが、千聖!」


1週間かけて、街に戻った。
入り方は知っている。

――――――――

やっと、たどり着いた千聖達が見たものは
あまりにも、酷すぎて言葉にならなかった。

ほんの、一週間前まで活気付いてたこの街は
ゴーストタウン化していた。


「…」
「千聖…」

泣きながらしがみついてくる舞ちゃんを抱きしめる。
そうだ、うちらはメンバーの生存を確認しにしたんだ。

「舞ちゃん…聞いて」
「…千聖?」

「…怖かったら、ここにいていいよ?」
「なっ、なにいってるの?」

「これから、宿舎や本部に行く」
「ま、舞だって一緒に…」

「うん、一緒に行きたいけど…」
「じゃー行こうよ」

震えてる舞ちゃんを置いていくのも気が引ける。
けれど、今まで、笑いあっていたメンバーの死体でもみたら

ショックで壊れるかもしれない。
綺麗な死体とはどう考えても思えないから。

引っ張る舞ちゃんに最後の牽制をかける。


「街で…全滅って言ってたよね?」
「うん、だから…千聖?」

「愛理や栞菜…うんん、えりかちゃんや舞美ちゃんの
死体見れる?綺麗じゃないと思う悲惨な状況だと思う」

そういった後の舞ちゃんの表情は私には読めなかった。

「いい、何も知らないほうが舞は嫌」
「うん、じゃー行こう」
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