愛の花を君に捧ぐ
※学パロ
※サスサク
「どうかしたの、サクラ」
帰り道、隣で俯きかげんに歩く親友。
最近どうもおかしいとは思っていたものの、今日は一段と暗い。
いつも笑って誤魔化すサクラに、あまり突っ込むのも可哀相かと思ってはいたが、あまりの静かさに、いのは耐えられなくなった。
「……実は、ね。最近、朝玄関を開けると、足元に花が一輪置かれているの」
「あんたそれって…」
「やっぱり…
いじめ、だよね?」
「……はぁ?」
「だって今日サイが…
『毎朝花を贈られる?
…それって、手向けの花?サクラ、君もしかして、いじめられてるんじゃないかい?』
って」
「それこそ、いじめよ(誰の仕業か分かってて言ってるわね…)」
「はぁ…何か嫌がること、しちゃったのかな…」
「安心しなさい、サクラ。そんなんじゃないから」
「……」
俯くサクラの隣で、いのは盛大な溜め息をついた。
***
いのと一緒に帰った日の翌朝。
自分でもわからないが、サクラは目覚まし時計が鳴る前に目覚めていた。
とりあえず、顔を洗い制服を着るなど簡単に身仕度を整える。
二度寝は危ないと判断したのもあるが、昨日のいのとの会話が頭に引っかかるのだ。
いのはいじめじゃないと言ったけれど…
一瞬暗くなるサクラだが、ハッと我に返ると頭を振った。
落ち込むのはやめよう。また、いのに心配かけるだけ…
そうだ、新聞をとるついでに外の空気を吸って、
「気分転換し、よ…」
「……」
「……え」
玄関を開けると、花を持って硬直したサスケと対面した。
「あ、もしかして…」
「(バレたか!?)」
「その花そこにあった?」
挨拶も飛ばすほど、サクラはサスケの持つ、一輪の花に目が持って行かれた。
花、のワードにサスケは後ろ手に隠すが、むしろその行為がそれを肯定しているのは明白。
無意識のうちに、サクラは寂びしげに呟いていた。
「私、やっぱり誰かに嫌われちゃってるのかな」
「違う!……その、これは、オレが…」
「サスケ、くんが…
私を嫌い」
「何でそうなる!普通逆だろ!」
「逆って……え、え?」
「っ、しまっ…!?」
観念したかのような表情から一転、真剣な眼差しをサクラに向けるサスケ。
「何で嫌われてるとか思ってるのかは知らねぇが、オレは、その…お前が喜ぶと思って毎朝花を…」
「え…」
「オレはお前が…サクラが好きだ」
背に隠していた、真っ赤なバラを一輪、サクラに差し出す。
キョトンとしていたサクラだったが、やがてバラにも負けないくらい顔を赤くすると、そっとサスケの手からバラを受け取った。
「ありがとう、サスケくん!」
「ああ」
「私も、サスケくんが大好きだよ!」
「っ、ああ」
『貴女の笑顔のために…
一輪の花を毎日送ろう。
花束になる、その日まで…』
End
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Treasure Storyの表紙より。
そういえばこれ、サスサクイメージで書いたんだっけ…と思ったので(笑)
そして何とも言えぬ、後付け感満載のタイトルw
2015.2.8〜