小説
□魔女
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「あらら、迷ったかなぁ」
のんびり口調でそういったのは青い長ズボンで膝ぐらいまであるブーツに上は白いノースリーブの上から黒いコートを着ている男だった。
「まったく〜どうするんだぁ〜い?」
その男の連れはのんびり口調でよくわからない笑を浮かべていた。上下黄色のスーツで茶色のテンガロンハットをかぶっていた。
「ほら、何をする・・・・こそばゆいじゃない」どこからか女性の透き通った高い声が聞こえた。
それをきいた二人はその方向に足を進めた。
見つからないようにかがみ草のあいだから女性を見た。
血よりも真紅でルビーのように輝いていた。黒の強い茶色の髪に光が当たると赤く見える腰まであるロングヘアーで白いワンピースに裸足だった。そんな彼女の右肩を見ると桜吹雪が焼き付けられていた。それは右腕の関節のところまであった。
それが目に入ると魔女だと認識した。
立て膝をしている彼女の周りには動物たちがいた。
小鹿が彼女のほっぺを舐めてそのくすぐったさから両目を優しくつぶっていた。
さらに近づこうとコートの男は片足を前に出した、地面に足がつくと枝の折れるおとが鳴り響いた。
それに驚いた動物たちはどっかに逃げてしまった。
それを見つめている彼女の背中はとても寂しそうだった。
「あ・・・わ、悪い」
頭をかきながらのろのろと近寄ってくる男を見向きもせず走り去ろうとしていたがもう片方の男に右腕をかくほされてしまった。
「は、離してつかぁさい」
さっきまでの優しい表情は消え怯えた顔で黄色い男を見上げた。
「ちょっとぉ〜迷っちまってねぇ〜」
「街まで案内してくれないか?」
黄色い男の言葉をさえぎりでしゃばる黒いコートの男を一瞬睨みつけた。そんなことを気にしない素振りで小柄な女性の肩に手をまわした。
一瞬からだをビクッとさせた。
確保した手を話し一歩的に話を進めた。
「ほ、げに案内だけじゃね?」
俯いたまま体を震わせながら透き通る声で小さく言った。
「何もしねぇ〜よぉ」
ポンと大きな手を女性の頭にのせ、優しく撫でた。
「・・・・つ、ついて来てつかぁさい。」そう言うと慣れない手の中の温もりから逃れ歩き始めた。
長い髪を揺らしながらまっすぐ歩き出す彼女の足元を見るとやはり裸足だ。足の裏は痣や切り傷で赤くなっていたりした。
体をよく見てみると足の裏と同様痣や切り傷が目立った。
「おめぇ〜ずっとここに住んでるのかぁ?」
後ろからついてくる黄色い男は何気ない質問を投げた。
「もう、気づいてるんじゃないん・・・」振り向きもしないでどんどん先に行ってしまった。
その言葉でやはり魔女かと頷いた。
そのあいだは無言だった。
10分ぐらい歩くと中世ヨーロッパのような街にでた。森を出てすぐ人の賑やかな声などが飛び交っていた。
「・・・もう、二度と会うこたぁないじゃろう。」
そう言って立ち去ろうとすると周りの人々は森から出てきた女性に
「魔女め!」
「早く死んでしまえ!」
「化物!」
「穢らわしい!」
など暴言と石を投げつけた。
涙をこらえ走って森の中に消えてしまった。
「おぉ!ボルサリーノさんとクザンさんではないですか!」
街や街の郊外で有名な二人は人々に有名だった。
「あの女に近づかない方がいいですよ!」「なにせ穢らわしい魔女だからな」
「今じゃ魔女狩りも禁止されますからこの世から厄介払いできませんし」
戻るなり悪口かとため息をつき群れる人を振り払いセンゴクやガープ、おつるがいる我が家へと向かった。