小説

□実験動物
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禁止されたはずの実験は、まだどこかで密か

に行われていた。
 
 「おい!成功したか?」

そう言ったのは上下黒いスーツをきっちり

着た政府関係者だ。 
 
左右と前はガラス張りで数人が椅子に座っ

てコントロールする機会をいじっていた。

その人たちは白衣を着ていた。
 
 「いえ・・・まだです・・・」
 
ガラス張りの向こうに一人の女性がいた。
 
 両手は万歳状態で両手首に枷がはめられて 
いて膝立ち状態で両足首と首にもはめられ

ていた。
 服とは言い難いほどの血の滲んだボロボロ のワンピースだ、膝まであるがそこはもう

破いたようになっている。
 
 体もボロボロで痩せ細って痣や切り傷など

が目立った。
 
頭からも血が流れていた。
 
 「海桜石の濃度を少し高くしろ!」
 
 そう言うと一人の科学者が立ち上がり海軍

が使う銃の弾丸を近くにある机から3つほど

取り出した。
 
 その弾丸には数字が書かれた紙

が貼られていた。それを白衣の来ていない上

 層部の政府の人に渡した。
 「さっき使用した弾はこちらです。」
 そう言うと3と書かれた紙が貼られている

弾を渡した。
 「海桜石を2.3増やせ」
「はい!」
 
 礼儀正しく敬礼すると弾を返されどっかに

走って行ってしまった。
 
 その数字は海桜石の濃度を表していた。

海桜石と火薬が合わないと撃つ瞬間に爆発し

たり撃って飛んでる時に粉々になったりして

しまう。
 
しかし、ここでおこなっている実験はそれだ

 けではないようだがそれは何かわからない

が女性ともくれば性欲処理にも使われる。

 「3.5を試す」
 残った科学者達は間抜けな声でため息をつ

いた。
 「し、しかし・・・」

 戸惑った様子で上層部の人物を見ていた。

「何をしている!俺の命令が聞けないの

か!」

 腕を組んで大口を開けて怒鳴ったその声で

科学者達は肩をビクッとさせた。
 
 逆らえば何をされるかわからない、政府と

いう存在は海賊よりもタチが悪い・・・

 「じ、実験体の容態が・・・」
「そんなの構わうものか!」

 困った顔で科学者達は顔を合わせた。
 
「実験体103番サカズキ・・・」
 
 政府関係者はどこから出したのかカルテに

目を通していた。
 「餓鬼の頃から実験動物とはな・・・」
 
鼻で笑うとガラスを覗き込んだ。
 
 下には弾を撃つ機械が並んでいた。


機械が狙いを定める時になる高い音が鳴り響

くと同時にサカズキの血のように真っ赤な目

はとても虚ろなだった。
 
 口を開けて何かを叫んでいたが精神状態も

酷く声が出せなかった。

 バンッと鳴り響くと海桜石がサカズキの体

に当たった、口から血を吐き出し俯いたまま

顔を上げた。

 「3.5は成功か・・・」
 そう言うとカルテの裏側にメモをとった。
 
 「た、大変です!!」
 
 ミサイルから死に物狂いで逃げるように走

ってきた科学者は息を激しくした。

 「か、海軍・・の船が!乗っているのは!

黒腕のゼファー、ガープ、センゴク、怪物と

言われる訓練生ボルサリーノ!」周りにいる

関係者達は目を見開らいていた。
 
 どれも最強とうたわれる連中ばかりだ、こ

いつらに勝てる相手はいないといっていいほ

どだ。

 「な!何故、ここがわかった!」

それを知らされた政府関係者は退散命令を出

した。

「ここも、終わりか・・・」

 そう呟くと裏口にある船に乗り実験施設を

あとにした。
 
 「おいおい、ガープ、セファー、壁を壊して進む事ないだろ・・・」
 
センゴクはため息混じりにそう言うとガープ

とゼファーがつくった道をボルサリーノと歩

き始めた。

 歩く速度は遅いものの幅が大きいので実験

を行っている塔に早めについた。
 
 「おぉ〜意外と狭いねぇ〜」のんびりとし

た口調でかぶってる帽子から頭をかいた。

 「セ、センゴク・・・」
 
 裏返った声でゼファーはガラスの向こうを

見つめていた。

 そんなゼファー達を構わずガラスを割って

しまった。
 
防弾にもかかわらず高い音が鳴り響いた。

「えーい!ガープ!貴様!そんなことしてあ

 の娘が怯えるだろ!」

 そういうとゼファーとボルサリーノでそこ

に通じる通路を走った。
 
 サカズキは割れたガラスを靴で踏みならが

近寄ってくる大男に怯えた目を一瞬向けて首

を横に振った。
 
 枷に触れたると鈍い音が鳴り両手両足首に

ついた枷が外れた。

 「こらぁー!ガープ!勝手な行動するなぁ!」

 大声で怒鳴り散らしながら勢いよく走って

くるセンゴクにサカズキは女の子座りで反射

的にガープの体にしがみついた。
 
 「センゴクさぁ〜ん説教なら後にしてくれませぇ〜ん?」

 ゼファーは両手をポッケに入れたまま近づ

いた。

サカズキのしがみつく力が強くなったことに

ゼファーは気づいた。
 「ゼファー、怯えてるだろう!」
 
 お前が言うなと怒鳴りたいが抑えた。
 
ポッケから片手をだしやさしく頭をなでた。

 「サカズキっていうのかぁ〜」

カルテを片手にボルサリーノはサカズキを見

つめた。

 「おぉ〜い・・・出血してねぇーかぁ〜?」
 あいてるほうの手でサカズキをさした。

 カズキは両腕でお腹を抱え倒れこんでしま

った。

 あんな近くにいたくせに気づかなかったガ

ープとゼファーに呆れることも出来なかっ

た。

「船に連れて行くぞ」
 
 センゴクはそういうと先に戻ってしまった。

 「さてぇ〜」
 
 いつの間に近くにきたのか目を丸くしたゼ

ファーとガープを無視しボルサリーノはサカ

ズキを横抱きにした。

 サカズキはお腹を苦しそうに抱えていた。

ゼファーとガープは間抜けな顔しボルサリー

ノの能力を思い出し”あぁーっ”というかん

じに手をポンとたたいた。
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