ウラしっぽや〈R-18〉

□新人と楽しく◇モッチー&ソシオ◇
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side<ウラ>

カズハ先輩とナリと一緒に3Pを楽しんだ飲み会から1週間以上経っていた。
今日はナリの部屋での飲み会だ。
もちろんヤる気満々だったので『お茶とお菓子の飲み会』なんて甘いものではなく、今回もガッツリと酒を用意して行った。
酔っていた方が大人しい2人も大胆になりやすいことが、前回の飲み会で発覚していたからだった。
ツマミには中華の達人ソウちゃん特製の春巻き&かにシュウマイ、中華チマキを持って行った。
テーブルの上に持ち寄りの酒やツマミを広げると、俺達は早速乾杯をして酒と料理を堪能し始めた。


「日本酒って、何かで割ると飲みやすいのがわかったから、最近自分でも買ってみてるよ
 と言っても銘柄じゃなく瓶の柄で選んじゃうんだけど
 これもジャケ買いって言うのかな」
カズハ先輩が持ってきた日本酒の小瓶には、猫の絵が描いてあった。
「ラベルじゃなく、瓶に描いてあるから可愛いくて飲み終わった後も捨てられないんだ」
俺やナリには物足りない量だけど、カズハ先輩がジュースで割って飲むには丁度よさそうだった。
「カフェオレで割れば空と楽しめるし、カルアミルクみたいな感じで美味しいよ」
カズハ先輩は空とペットボトルのカフェオレを分け合いながら嬉しそうに話していた。

「それ、カルディアで売ってるの見たことある
 友達がコーヒー豆買いに行くのにつきあって、何度か行ったことあるんだ
 あそこ、オリジナルのお菓子やオツマミがあって楽しいよね
 珍しい調味料や食材も売ってるし
 大麻生、ライスペーパー買えばベトナム風春巻きにチャレンジできるんじゃない?」
ナリに教えてもらったソウちゃんが、興味深そうに店の場所を聞いたりしている。
「ワインや日本酒もあるからウラも楽しめるよ
 僕は紅茶が欲しくて行くけど、つい、お菓子も買っちゃうんだよね
 何でも売ってるコーヒー屋さんなんだ」
酒が入るとカズハ先輩はテンションが上がるのか、いつもより饒舌だった。
「へー、何か面白そうな店」
最初はそんなたわいもない話で盛り上がっていたけれど、宴が進むにつれて段々良い感じの雰囲気になってきた。


「前回はナリが賭に負けたから、今日は俺とカズハ先輩で好きなように弄んじゃって良いんだよね」
俺が物欲しそうな視線を向けると
「何のことやら」
ナリは明後日の方を向きながらとぼけていた。
「カズハ先輩からも言ってやってよ、経験値増やしたいでしょ?」
俺に話をふられ
「え?あ、あの、僕は、別にそんな…」
カズハ先輩は真っ赤になってアワアワしている。
「不満だったら、今日の賭ではナリが勝てば良いじゃん」
俺はナリに近づいて肩を抱き、唇を合わせた。
ナリは抵抗せず、体を少し震わせ微かな反応を見せる。
舌をねじ込んで深いキスをすると
「ん…ふ…」
甘い吐息が合わせた唇から漏れ出していた。
彼のシャツのボタンを外している最中に、小さな音楽が聞こえてきた。

ナリがやんわりと俺を押し止める。
「電話が…」
それはナリのスマホの着信音のようだった。
「明日かけ直せばいいじゃん、こんな時間だし占いの依頼じゃないでしょ」
俺はさらにボタンを外していく。
「待って、これ、化生の番号で登録してる曲だ」
さすがに俺も動きを止めた。
「こんな時間に化生から電話って…?
 飼い主が居ない子からかな」
カズハ先輩もいぶかしげな顔になる。
「ナリ、これ」
気の利くふかやがすかさずナリにスマホを差し出してきた。
「ソシオからだ」
緊張した面持ちで電話に出たナリの顔が強ばった。

「うん…、うん…、ソシオ落ち着いて、スピーカーのボタン触ってみて
 わかる?そう、絵が描いてあるとこ」
ナリもスピーカーモードにすると、悲痛な泣き声が聞こえてきた。
「ナリ、モッチーを助けて!」


俺もカズハ先輩も状況がよくわからなかったが、ただ事じゃない事態が起こっているのは感じ取っていた。
ナリとソシオと言う化生の会話の断片から、ソシオが飼ってもらいたいと思っている人間がバイクで事故ったらしいと言うことがわかってきた。
結構な怪我のようで、片腕は完全に折れている。
外見からはわからなくても、肋骨が折れて肺にでも刺さっていたらヤバいと言うことはさすがの俺にも判断が付いた。
事故慣れしていないソシオに代わり、こちらから救急車や警察に連絡を試してみることになった。

「ナリ、僕のスマホ使って救急車呼んで」
カズハ先輩が慌ててスマホを差し出したので
「俺ので警察呼んで良いから、現場検証とかしといた方がいいんだろ?」
俺もスマホを取り出した。
「事故現場の住所がわからないんだよね、この地図アプリで調べてみようか」
ふかやがスマホのアプリを起動させる。
「場所がわかるようなら、自分が警察に連絡します
 ナリは救急車を向かわせてください」
ソウちゃんの言葉にナリは頷いて、俺達は怒濤の連係プレイで何とか現場に救助を差し向けることが出来た。
因みに空は『何もせず大人しくカズハの隣に座っている』という最大級のお手伝いをやってのけていた。


エロい気分が吹っ飛んだ俺達は深夜まで事後処理に奮闘し、ナリの部屋で仮眠をとらせてもらい朝食を食べた後、慌ただしかった宴をお開きにするのであった。
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