しっぽや2(ニャン)

□デカ飼い主&飼い猫奮闘記
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「後は、しょっぱい系だね
 サンドイッチが手早く作れてバリエーション豊富で良いと思うんだ
 あんまり準備に時間をかけられないからさ
 ケーキもサンドイッチも前もって作っておけるじゃん」
「そうですね、パンが乾かないように1個ずつラップでくるんでおけば…
 ラップか」
ひろせは考え込むと、またスマホで検索をし始めた。
「この、キャンディラップサンドと言うのが可愛いと思ってたんです
 魚肉ソーセージを斜めにスライスして先端をカットすれば桜の花びらのようになるから、模様にするのにピッタリかと」
見せてもらった写真のロールサンドは、キャンディーの様にラッブに包まれている。
花形に型抜きされたハムが飾りでついていて、とても可愛い見た目になっていた。

「良いね!これにしよう
 ひろせは何でも知ってるんだね、俺、こんなの検索してみたこと無かったよ」
俺は感心してしまう。
「タケシに作ってあげたら喜ぶかな、って考えながら検索するのが楽しくて
 人間に料理を教わるチャンスがなくても、こうやって色んな人が考えたレシピを知る事が出来るのはありがたいですね
 長瀞はレシピを検索して、更にアレンジを加えたりしています
 パーティーメニューにはチキンを1羽焼いてみたい、って張り切ってました
 ローストビーフとか日頃作らない物にチャレンジして、ゲンにも味わって欲しいんですって
 今回僕はタケシと楽しむためのメニューのお試し、みたいな感じでやらせてもらいます
 荒木と日野をダシにしちゃった」
ひろせは悪戯っぽい顔で舌を出してみせた。
飼い主を喜ばせようと、色々奮闘する化生達は健気で可愛かった。
「ナガトの料理には適わないと思うけど、これは俺たちのオリジナルメニューだ
 喜んでもらえると良いね」
俺は手を伸ばし、ひろせの柔らかな髪をそっと撫でる。
ひろせは俺の手を頬に押しつけ
「僕達のメニュー」
うっとりとした声で呟いていた。

パーティーの日までそんなに時間は無かったが、1回は試しに作ってみようと2人で買い物メモを作成する。
「明日も泊まりに来るから、その時に作ろうか
 材料は仕事の後に買いに行くことにして、パーティーメニュー作りを口実に連泊するよ
 俺も、荒木先輩と日野先輩をダシにつかってるな」
俺が笑うと
「ダシになってくれた2人には、美味しいお返しをしないとね」
ひろせもクスクス笑って秘密めかしてそう言った。


「メニューも決まったし、後は2人の時間を楽しもう」
俺はひろせを抱き寄せて耳元に口を近づけ、そっと囁いた。
「はい、シャワーでも浴びます?」
彼は期待するような瞳で聞いてくる。
「そうだね、入浴剤使って少し温泉気分も味わおう
 捜索を頑張ったひろせの身体をほぐさないとね」
そんなことを言ってシャツの上からひろせの身体に指を這わせ、耳朶を軽く噛む。
身を震わせて反応する姿が可愛らしく、色っぽかった。

俺たちはシャワールームに移動して温かなお湯に打たれながらジャレるようなキスを繰り返していた。
「温泉ではないんですが、美味しそうだなと思って買ってしまいました」
ひろせが持ってきた入浴剤は『牛乳風呂』の元だった。
バスタブに入れると、お湯が乳白色に変わっていく。
ほんのりと甘い香りが鼻をついた。
2人で一緒にバスタブに入ると、盛大にお湯が溢れてしまう。
シャワールームには更に甘い香りが広がっていった。
その香りが入浴剤の物だけではないことに俺は気が付いていた。
極上に甘い香り。
それは欲情しているひろせの気配が混じっているものだった。

「ひろせ」
「タケシ」
俺たちは先ほどより深く口づけを交わしあった。
舌を絡め、お互いの身体に指を這わせてその存在を確かめた。
温かなお湯に浸かっているせいか、あっという間に身体が熱くなっていく。
それは2人の燃える想いのように体中に広がっていった。
このままバスタブで繋がると直ぐにノボセてしまいそうだったので、俺はひろせを促して洗い場に移動する。
「タケシ、きて」
性急に求めてくるひろせを、俺は後ろから貫いた。
「んっ…、はあっ…、タケ…シ…、タケシ…」
甘い香りがひときわ強くなり、それに煽られたように俺の動きも加速していった。
きっとひろせも強く俺の気配を感じているはずだ。

俺達は激しく繋がり、お互いが感じている刺激に酔いながら想いを解放した。


まだひろせの中に自身を埋めたまま、俺は後ろから彼を抱きしめる。
「前から良かったけど、ひろせの気配を感じることが出来るようになってから特に興奮するようになった」
そう言って更に強く抱きしめると
「それでなのかな、僕も凄くタケシを感じるようになったかも」
ひろせはそう答えて、怪しく身を揺らめかせた。
俺達は想いを解放しあっても、身の内から欲望がわき出しているのを感じていた。

「ひろせが疲れてないなら、まだ頑張って良い?」
「いっぱい、頑張って下さい」

俺はひろせの可愛いおねだりを叶えるべく、深夜まで頑張り続けるのであった。
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