イナGO話

□狩屋マサキの憂鬱
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一年生達で屯ってた部屋を出たオレは、二年生の先輩達がいる部屋の前に来ていた
少し緊張しながらもドアに手をかけ開けた
中にいた先輩達も思い思いに過ごしていた

「どうした狩屋?何か用か?」
窓際で読書をしていた神童先輩が顔を上げそう訪ねてきた

「いや〜少し気分が悪くなって…外の空気吸いに行っていたんですよ〜気分も落ち着いてきたからここに居させてはくれないかな?て思って…」

「天馬達の所には戻らないのか?」

「っいや〜さっき出ていったばっかなのにもう戻ってもな〜と思いまして…」
素直に、天馬くんの重い剣城愛に気分が悪くなりましたと言っても分かってもらえない…
オレは必死で言い訳をする

「そうか…じゃあ好きなだけここにいれば良いさ」
神童先輩がにこやかにそう言った時、オレは心の中で万歳をした
そして辺りをさりげなく見渡して

「あれ?倉間先輩と…霧野先輩は?」
あのピンクツインテは正直どうでもいいが一応聞いてみる

「倉間くんは三年生のとこに、霧野くんは先生に呼び出されましたよ、もうすぐ戻って来ると思いますけど」
そう答えたのは速水先輩
呼び出されたとか…何やらかしたんだよあの先輩
とにかく、オレはここのほのぼの空気に癒されることにした
天馬くんから受けたあのドロドロしい気分もどんどん洗われていくような感じにオレは満足していた

ドタドタと廊下から聞こえてきたうるさい足音に何だか嫌な予感がした…
その足音がドアで止まった瞬間そのドアは勢いよく開いて

「神童うううぅぅぅ〜!」
「ぐえ!?」
ドアから出てきた何かが勢いよく神童先輩に飛び付いた
その何か…いや霧野先輩だけど
つーか、飛び付かれた神童先輩からはカエルが潰れたような声がしたぞ、大丈夫か?

「神童〜〜会いたかったよ〜〜〜!」
「霧野…苦し…」
そのままホールドされた神童先輩は離せと言わんばかりに霧野先輩の腕を叩く、どれだけの力で締め付けられているんだ?

「おい霧野、神童苦しそうだぞ」
「離してやれよ」
一乃先輩と青山先輩が助け船を出すようにそう言った
そう言われてやっと力を緩めたのか?神童先輩が咳き込む声がした、力を緩めただけでホールド自体はやめてないが…

「ゴメンよ神童、愛が止まらなかった」
「分かったから息出来なくなるまで締め付け無いでくれ」
「神童〜〜愛してるよ〜〜〜!」
「ハイハイ、俺もだよ」

この二人もいや、霧野先輩の一方通行だけど…
天馬くんと剣城くん達と違って神童先輩は霧野先輩のあしらい方がとても上手い、そういや幼馴染みだっけ?あの二人

「………うっ」
「狩屋くん大丈夫ですか?」
顔青ざめてますよと速水先輩が労るように聞いてきた
どうやら天馬くんの剣城愛を上回るほどの霧野先輩の異常な神童愛にやられたらしい
うう、せっかくの癒しが……

「あ、狩屋もう出てくのか?」
ドアに手をかけた所で一乃先輩が尋ねたので
「気分悪いのが振り返したから外の空気吸いに行ってきますね」
と、返しておいた
ふと見えた霧野先輩は右腕で神童先輩をホールドしながらも、さっさと出てけと言わんばかりに左手を払っていた、あの女男〜〜(怒)
オレはイライラをぶつけるようにドアを乱暴に閉めた

オレが出ていってすぐに部屋から凄まじい破壊音と霧野先輩の悲鳴が聞こえた
多分あまりのしつこさにキレた神童先輩お得意のフォルテシモが炸裂したのだろう

「ハハ、ザマア」
オレはそう悪態付いてその場をあとにした
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