シリーズのお店【混合】

□L'Etoile
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「名無しさんさん、今日はお客さん来ませんねー。」

『そうねぇ…。もう少しでお店閉じ陽かしら…。』

すると、梓が厨房から顔を出す。

「名無しさんさん、カクテルなんでもいいんで、作ってくださいよー。たまには、いいですよね?」

お願いをされてしまった、が、

『だめよ。仕事中でしょ。また、今度作ってあげるわ。』

「本当ですか!楽しみですねー。」

カランコロン…。

ベルの音がする。

お客様だ。

『いらっしゃいませ。』

帽子とマスク、サングラスをかけた男が入ってきた。

「ちょ、不審者ですか!!」

『結愛。違うわ…、これは…。』



「名無しさんっち!来たッスよ!」



『黄瀬様。いらっしゃいませ(ニコ』

すると、マスクとサングラスを取る。

「え…!?今人気俳優、黄瀬涼太じゃないですかぁ!!私、ファンなんです!!」


「そうなんスか、ありがとう!」


爽やかに笑い、席に座る。
結愛はかなり顔が赤い。

『何にします?』

「今日は、アペロールソーダがいいっス。」

甘口のお酒。度数も結構低めである。

『かしこまりました。』

さっそく作る。

「ねー、名無しさんっち。」

『はい、何でしょう?』

「好きな子に振り向いてもらうにはどうすればいいと思うッスか?」

なかなか、意外な質問だった。

「え…、黄瀬さん、好きな人がいるんですか…、」

結愛は、結構ショックを受けていた。

『意外ですね。黄瀬さんなら、女性の1人や2人、振り向かせるのはお手の物かと思っていましたよ。はい、できましたよ』

出来上がった

「いや、そうなんスけど!その女の子、どんなに俺が口説いても聞いてくれないんス!」

率直な感想を述べてみる。

『黄瀬さん、1ついいですか?…その女性、多分相手として見てないと思いますよ?』

かなりショックな様子。少し言い過ぎたか…。

『では、本気だということを示して見せてあげてください。』

「どうやって…?」

『ふふ、人に聞いてばかりではだめですよ?』

カクテルを飲みながら、うーん、と唸る。

カランコロン

『いらっしゃいませ。』

中に入ってきたのは、20代半ばの大人っぽい雰囲気をした女性。

「わー、綺麗な人…。」

『こら、結愛。お客様をご案内。』

「は、はい!こちらです…。」

「どうも、ありがとう。…あら?」

誰かを見て、少し驚いている様子。

「…涼太じゃない。」

『お知り合いですか?』

「っ!!え、心優(ミユ)っち!!」

少し、黄瀬さんの顔がゆるんでいるのに気付き例の女性がこの方というのが考えるまでもなく分かった。




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