籠球

□雨の日
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(今吉さんは大学生設定)


ワシがあの子に出会ったのは、元カノと別れてた日だった。

その日は、集中豪雨で、昼間から物凄く雨が降っていた。

「今吉くんって…、私じゃなくてもいいんだよね。」

「そんなわけないやん…。自分のことほんまに好きなんやで…?」

「いっつも私じゃ不満足な顔してるんだもの…。」

ワシはこの子を心の底から愛していた…。
けれど、それが分かっとらんかったみたいだった。

「………分かった。別れよか。次の相手と、仲良うな。」

「うん……ばいばい。」

この言葉の意味を知られずに済んだ。

実は、彼女は浮気をしていたのだ。もしかするとワシの方が浮気相手だったのかもしれない。

ワシはそのあと傘もささずに、家に帰った。大雨の中、傘をささずにいる人間はワシくらいだった。

あーあ、惨めやなぁ。

『おにーさん』

ワシを呼び止める声がした。

振り返ると制服を着た女の子がいた。見た目からして、高校生ぐらいだろうか。

すごく優しそうな瞳をしていて、綺麗な瞳の色と髪の色をしていたのが印象的だった。
それから、独特な口調も。

『おにーさん、傘ささないと濡れちゃいますよー?ほら、びしょびしょじゃないですかー。傘どうぞ!』

と、親切にも1本渡してくれた。

「おおきに、でもええんか…?」

『いえいえ、お気になさらず―。私、2本持ってるんでー。あ、それ返さなくても大丈夫です。ではー。』

そして、その女の子はすぐに去ってしまった。

それから、少し気になり始めていた。
名前も知らない。接点もない彼女。もう2度と会うことがないかもしれない子に。


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