排球
□涙の雨
1ページ/10ページ
満開の桜。
入学式が終わり、日はかなり経つ。だけど、里桜はすべてに対してどうでもよかった。
兄からも、いい加減、部活を決めろと言われているが、彼女には聞く気など全くなかった。
中学のころには、双子の一条と一緒にバレーをしていたが、チームに嫌われ、途中でやめた。やめた後は、何も部活には入らなかった。
それには、理由がある。二人で街でショッピングをしてたら、モデルのスカウトされていたため、そっちをやってみるのもいいかなと思ったためだ。
今も、モデルをやっているのかというと、もうやめた。飽きてしまったのだ。つまらなすぎて。中学卒業と同時にやめてしまった。
一条はというと、彼女もまた、同じく部活に入る気がさらさらない。
というか、基本2人で1人なのだ。
「何もかもつまらない。」
「…里桜、そんなの今更だよ。世の中が楽しくないように作られてる。」
何も楽しくない。私たちを楽しませることができない世の中が悪いんだ。
そんなとき。
体育館の方から騒がしい声がした。
あぁ、今日は土曜日か。
確か、兄によれば、バレー部のある、新入生の入部をかけた戦いがあるとかないとか。
「……里桜…、なんか楽しそうな感じしない?」
「一条も思っちゃった?私も思った。
お兄ちゃんにバレると、いろいろ面倒だから、変装していく?」
カバンの中には変装グッズがたくさんある。
これにはわけがある。
モデルやってた時はかなり売れたから、ファンがたくさんいるのだ。それらにばれないように、常日頃から、ダサい格好や、男装をするためだ。
「…里桜は、バカなの?普通に変装するぐらいだったら、学校のジャージ着ればいいじゃん。」
「あ、そうか。」
というと、さっさと着替える。女子だって、バレない様に、サラシをまいて。ショートのかつらをかぶって。眼鏡をすると、完成。
まぁ、一条の方は、もともと眼鏡だから、そのまま。
ちなみに私は、いつもはコンタクト。
「行こう。」
「…あぁ。」
男装をするにあたり、二人は口調を変え、声のトーンを落とした。
→