誠乃戦隊
□二、風呂に入る時は下を隠せ
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「オイ総悟。稽古はどうした?」
「ヤですねィ土方さん。さぼ…日高さんの履歴書をちょいと見に来たんですよ」
「オイ何ださぼ…って。絶対さぼってんだろ。オイ総悟、こっち見ろ。オイコラ」
土方の言葉などに構いもせず、隊士履歴書ファイルを開いた沖田。
土方はチッと舌打ちをし、それを覗き込んだ。
歳は19。
職歴は、15歳時に江戸城警備隊に所属。2年後に、日向の飫肥城警備隊へ異動。そのまた2年後、現在に至るというわけだ。
「何でィ、あんな趣味してエリートさんか」
江戸城を直に警備していたのだ。特別警察である真選組よりも、こちらの職である方が格が上。
「真選組より見廻組に配属された方が良かったんじゃねーか、アイツ」
率直な感想である。
どうやら侑には、真選組へ配属された難しい理由があるらしい。
そして二人は、彼女の特技欄に目をやった。
「事務処理」
土方はほう、と思った。
彼は頭がキレる為、隊内のほとんどの書類が回ってくる。毎日毎日それを裁くのは肩が凝る。誰かに手伝わせたいと思っていたところだった。
そしてもう一つの特技。
「演技。…何ですかねィ。頼めばドM女の演技でもやってくれるんですかね?」
「お前の頭にはそれしかねェのか!」
土方はハッと気が付いた。
侑は日曜の朝稽古の免除を近藤に許されていた。いくら人のいい近藤だからと言って、そんなことを許すはずがない。
まさか、あの女この特技で近藤さんを?と勘づいた。
実は、その通りであった。
頭もいい侑は、男の扱いなど機械のようにやってのける。万人受けする可愛い女性を演じることが出来るのだ。
全く末恐ろしい女だな、と土方は思った。しかし沖田はその逆。フッと笑い「何だか楽しくなりそうですねィ」と溢した。