誠乃戦隊
□三、新入りの影響力が凄まじいこともある
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副長の土方は、まだ研修中の侑を小姓として扱っていた。大方の仕事は、書類整理の手伝い。他にはマヨネーズの買い出しとか買い出しとか買い出しとか。
「只今戻りました、副長」
「おう。ちゃんと冷蔵庫に入れて来たろうな?」
「はい、バッチリです」
この暑い中、自転車で買い出しに行っていた侑。汗が出っ放しである。しかし土方はそんなことも気にせず、小さな机を指差す。
「お前が処理するのはそこに置いてある。さっさと片付けろ」
「はい」
侑はタオルで汗を拭き取り、机の前に座った。だがこの暑さで集中するにも出来ない彼女は、ある物を取り出した。それを静かに身に付け、仕事に取り掛かる。
15分後。
「副長、出来ました」
「偉く早いな。そこに置いて…って何面被ってんだコラ!ふざけんじゃねーぞ!」
侑は被っていたキョウリウレッドの面を頭の上に乗せた。
「ふざけてなどいません。これを付けると強くなった気になって、仕事もはかどるんです」
確かに15分であの量の書類を片付けるなんて、凄い集中力だが…と土方は思った。まぁ彼にとっても、書類がスムーズに片付くことが何よりである為、それ以上文句は言わなかった。
「便利な道具だな。俺にも集中力を高める道具がありゃいいんだが…」
「あ、良ければ貸しますよ。他にブルーとかグリーンとか。何ですか、ピンクがいいんですか?」
「誰が面欲しいつったよ!」
ほら、と侑はまた土方から書類を渡された。まだまだある。侑はまた面を被り、仕事に掛かった。
二人で黙々と書類整理をしていると、監察である山崎が部屋に入って来た。
「副長。例の報告書です」
「おう。てかお前、何で上半身裸?」
上半身裸、という言葉を瞬時に聞き入れた侑。
「いやー、今日も暑いので…」
わざとらしく侑の方を見る山崎。どうやらこの為に裸で来たらしい。
侑は面を一旦外し、山崎に近寄った。
「少しでもいいです。触ってもよろしいでしょうか?」
「え、いやー別に…いいですけど」
「それでは、失礼致します」
侑は真っ先に、山崎の腕を触った。膨らんだ上腕二頭筋は逞しく、少し汗で濡れているところも趣があると、侑は話す。
「これからも、ミントン頑張って下さい」
「ありがとう侑さん!」
「いや、何で礼言ってんだ?」
山崎は嬉しそうな顔で、副長室を後にした。その後ミントンをする音がずっと聞こえていたので、土方の鉄拳が彼を襲った。