誠乃戦隊

□二一、運に身分は関係ない
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真選組は、夜の街かぶき町に参上していた。スナックすまいるの前で、派手に戦闘機を用意しているのは、自分たちの命を捨てても護らなければならない、大事なお方がいるからだ。


征夷大将軍、徳川茂茂。この国を治める、トップなる人物。

城にばかりいる上様の為、キャバクラにでも行って羽を伸ばしてもらおうと、警察庁長官の松平が決めたことだった。

今回はその将軍様の護衛にと、狩り出されたのだ。





侑は将軍様の前でひざまずいた。顔は決して上げられない。何せこの国で一番偉い人なのだから。


「侑、久しいな。達者にしていたか?」

「勿体無きお言葉。上様におかれましても、ご機嫌麗しいご様子」

「うむ。お前とこうして再会出来た故か…。昔のようにはゆかぬが、これからも余の為に尽力してくれるな?」

「勿論にございます。今夜はごゆっくり、お楽しみください」


将軍は侑の肩をポンポン、と叩いた後、少し悲しそうな顔をした。だが直ぐに、侑は松平に呼ばれた為、そちらへ向かった。





「どうかされましたか、長官」

「オーイだからよォ、長官じゃなくてとっつぁんでいいって言ってんだろーが。もしくは父上でも可」

「ご用件は?」

父上呼ばわりされたい松平の気持ちは無視した。どうしてか。話が進まないからだ。


「侑。お前本当にキャバ嬢にならねェのか?きっと将ちゃんも喜ぶと思うんだがァ?」

「私の使命は上様を喜ばせることではなく、護衛することなので」


まだブツブツ言っている松平。だが、キッパリと断る侑の様子に、一時すると諦めた。



「よーし、それじゃあ行くぞお前らー」

松平を先頭に、店の様子を見に行く真選組。

出迎えに来たキャバ嬢は、いつものようにお妙がいた。それと、化粧が濃い神楽に、以前戦った九兵衛、猿飛あやめという始末屋。侑は見た瞬間、何がどうなっているのか全く分からなかった。


「なんだァ?今日は店の娘少なくねーか。盛りあがらねーな、これじゃ」

「大丈夫ですよ。あちらに行けばいっぱいいますから。あホラ、松平さん。みんな待ってますよ」



階段の下には、ソープ嬢の格好をした銀時と新八がいた。

「どーも、パー子でーす」

「パチ恵でーす」


「アレ。なんか今日初めて見る娘が多いな。新人さん?」


侑は近藤の後ろから銀時と新八を見た。女装をしているが、彼女には直ぐ分かった。

さ、坂田さんと新八さんの裸ァァァァァ!!そう心の中で叫び、ガッと二人の元へ行こうとしたら、土方に止められてしまった。頭をガッシリと掴まれている為動けない。


「オイどこ行くんだ?まさか女の裸にまで興味持ち始めたか?」

「何をおっしゃっているのか。どう見てもあの二人は「あら、侑さんじゃない」

銀時と新八のことを話そうとすると、初対面の猿飛あやめ、通称さっちゃんが侑に話し掛けてきた。ちなみに彼女はボンテージ姿。


「初めまして。あの、何故私の名前を?」

「そりゃあもう、知ってるわよ。何度か銀さんの家に上り込んでるじゃない。台所で若妻気取りしてたのも知ってるんだから。この泥棒猫っ!!銀さんは私のなのよォォ!!」


後ろで結っていた髪を引っ張られながら、あぁ、この人は局長と同じなんだと気付いた侑。


「あっ、ちょっと痛いです!やめて下さい!え、えっと…」

「猿飛あやめ!さっちゃんでもいいわ!」

「猿飛さん、あの…私は坂田さんの体にしか興味がないので…「何ですってェ!?やっぱりそれが目当てだったのねこのアバズレぇぇ!!」


ギャーギャーと女の争いをしていると、土方がそれを止めた。

「止めろ。今日は俺達ゃ遊びにきたんじゃねーんだぞ」


沖田に首根っこを掴まれ、侑はズルズルと引き摺られていく。く、苦しい…と言われても沖田は気にせず。


「じゃあ、ごゆっくり楽しんでいってくだせェ。俺達ゃしっかり外見張っとくんで」


遅れてやって来た将軍に向かって、頭を下げる沖田。


「上様」



堂々たる姿は、やはり征夷大将軍と言ったところか。だが侑を粗末に扱う沖田に対し、一言だけ発した。

「そう侑を虐めてくれるなよ」


「…う、えさま」



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