誠乃戦隊
□十七、料理は愛情
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ピンポーン
「あれ、誰だろうこんな時間に。はーい!今行きまーす!」
新八は玄関の戸を開けた。するとそこには、たくさんの荷物を持った侑がいた。中にはじゃがいも、にんじん、たまねぎ、牛肉、米、カレーのルーが入っている。
「どどどうしたんですかっ!?」
「あの…」
「取り敢えず、上がってください!」
新八は彼女の荷物を持ち、いつもの部屋へ通した。そしていつものソファーに座るように言った。
神楽は侑が来てくれたとあって、ヒャホー!とテンション高く彼女に抱き着いた。
お茶を出してもらった侑はそれを飲み、オーナーである銀時に向かってこう話した。
「申し訳ありません、このような時間に。あの…依頼をしに参りました」
「依頼?」
どうせ今日は暇であったし…いや、暇でなくとも銀時は侑の言うことは聞いてやるだろう。
「あの、非常に恥ずかしいのですが…その、ぉ………りょりょ料理を、私に教えて頂けないでしょうか?」
「は?料理?」
「はい。実は…」
時間をさかのぼること8時間前。侑は土方からこのように言われた。
『そう言えばお前、お豊から手伝いの件は聞いたか?』
聞いていなかった侑は、いいえと答えた。
『あぁそうか。ま、詳しいことはアイツから話すだろうが、なんでも女中の手が足りないらしい。風邪で倒れちまったんだとよ』
『…そ、そうなんですか』
『ん、どうかしたか?』
『あ、いいえ』
『それで、女のお前に料理の手伝いをして欲しいんだと』
土方は侑の手が止まっていることにも気付かず、ただひたすらに書類に目を通している。
『残業代は出してやるから、頑張れよ』
そう言ったのに、返事がない侑。ずっと黙っていた。
『返事』
『…はい』
後からお豊の所へ行き、話を聞いた侑。
『ごめんなさいねぇ。隊士の侑ちゃんに負担掛けるのは心苦しいんだけど…。あ、でも心配しないで。あなたは夕食の手伝いだけしてくれればいいから』
と最年長のお豊に言われれば、断るわけにもいかない。侑はいつもの調子ではいと返事をした。
「…という流れになったのですが、私…料理、出来ないんです」
侑の告白に、万事屋3人衆は衝撃を受けた。
完璧主義者に見える彼女が、まさか料理が出来ない!?
口を開けっ放しで驚いているものだから、侑も顔を真っ赤にして、俯いていた。
「ったく、出来ないなら出来ないで、素直に断れば良かったじゃねーか」
「…プライドが許さなかったのです。断ったら、料理も出来ない女だなんて思われてしまいますから」
「別にいいんじゃないの。腕力のない男、料理の出来ない女。今はそこら中にたくさんいるから気にすることねーって。俺はそんな侑ちゃんでもす「新八さん。よろしくお願い致します。教えて頂けませんか?」
侑は新八にそう問いかけた。一番マトモそうだし、料理も出来そうだからだ。
「でも、銀さんの方が料理は上手いですよ」
「ウン。銀ちゃんのシティーカレーおいしいヨ」
フフン、と鼻高々にしている銀時。侑は一瞬マジですか、と思ったが、上手いのなら…と銀時に先生をしてもらうことにした。