誠乃戦隊

□十五、酒癖は持って生まれたもの
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真選組の忘年会。雪が降り積もる寒い夜だが、男たちは熱い熱い。酒を飲みまくっている為、体が火照るのだ。そして酔ってくると歌い出したり踊り出したり、どんちゃん騒ぎだ。



侑は忙しかった。
酌して〜と注文殺到な為、あちらこちらへと動き回っていた。


「一年間お疲れ様でした。来年も、今年以上のご活躍をよろしくお願い致します」

そう言葉を掛けて一人一人に酌をする。隊士の中で「菩薩様」というあだ名を付けられるほどなので、今回も「ありがたや〜ありがたや〜」と拝まれていた。







「近藤さん」

ぐへへへぇ、と酒で上機嫌な近藤に、土方は話し掛けた。


「頼むから全裸になるのだけは避けてくれよ。去年までは良かったが、今年は侑がいるんだからな。アイツに恥部晒したらどうなるか、アンタ経験したろ」

詳細は第2話へ、とだけ言っておこう。


「大丈夫ですぜ土方さ〜ん。一応、アイマスク持って来てるんでぇ。もし近藤さんが全裸になったら、侑さんの目をこれで見えなくすれば、へへへ〜」

こちらも酔っている様子だ。しかし目隠しをした彼女を想像したら、S心が沸き立つ様子でもあった。







「侑さんってば、大変だね」

一息吐いていた侑に、誰かが話しかけた。


「山崎さん」

この方にはまだお酌していなかった、と熱燗を手に取る侑。


「あ、俺は大丈夫。それより侑さんは何がいい?烏龍茶?」

「あ、はい」

未成年の為だ。警察という自覚を持って、酒は飲まない。


山崎の手によって、グラスに注がれていく烏龍茶。

「ありがとうございます」

冷たい飲み物のはずが、喉を通り過ぎた後温かく感じた。きっと、侑のことを思った山崎の気持ちが入り込んだのだろう。


「「一年間、お疲れ様でした」」


二人同時に頭を下げ、言葉を発す。あまりにもシンクロしていた為、クスクスと笑ってしまった。

ほわほわとしたオーラが、二人を包んでいる。



しかしそんな時間もわずかで、酒臭くなった奴が彼女を呼んだ。


「侑さーん、酌ぅ」

逆らえない上司、沖田総悟。その傍には土方と近藤がいる。
あの3人には最初の方に酌をした。もう疲れ切っていた侑だが、酌を頼まれれば断るわけにもいかない。


山崎は「あぁ、また大変な…」と呟いたが、侑は平気な顏をして腰を上げた。


「行ってきます」

「うん、頑張って」
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