誠乃戦隊

□十三、犬の日が11月1日なの知ってた?
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11月1日。犬の鳴き声、ワンワンワンにちなみ、この日が犬の日と定められた。

今日がそんな日だとは誰も気にしないで働く真選組。彼らはいつも忙しいのだ。


しかし、そんな中で公園のベンチに寝転び、惰眠を貪る一番隊隊長がいた。


隊服の袖を引っ張られた感じがして、閉じていた瞼を開ける沖田。すると、下の方でフリフリと尻尾を振る子犬が見えた。野良だ。何やらいい匂いがするのか、遊んで欲しいのか分からないが、可愛く尻尾を振るっていた。

そんな子犬を見つめ、彼は思う。

侑さんが犬だったらなぁ。首輪付けて、疲れるまで散歩してやって、俺の言うことしか聞かない忠実な犬に育ててやるのに。


今の侑も、きちんと沖田の言うことは聞いているのだが、何せ彼女には従うべき者がもう一人いる。そちらが優先です、なんて言われたら、沖田はみるみる機嫌が悪くなる。まるで、お気に入りの玩具を取り上げられた赤ん坊のように。


はぁ、無理な話か。とまた眠りについた沖田。だがその後、とんでもない事が起こっているとは、本人を始め、侑も知らなかった。










ん、今何時だ?…結構寝ちまったなぁ、と沖田は起きた。ふあと欠伸をして、伸びをする。ぶるぶるぶる!と頭から体まで少し土埃っぽい臭いがしたので、体を震った。





…何で?



どうして自分の体から土埃っぽい臭いがする?

どうして犬のように、体をぶるぶると震った?





沖田は自分の手を、恐る恐る見た。

何も掴めない。もふもふしてる。香ばしい匂いのする肉球。





ワ、ワゥゥゥウウウウ!!?
(何じゃこりゃァァァァァァァ!!?)





何でこんな事にっ!?
いや確かに、さっき侑さんが犬だったらなぁ、なんて思ったけどっ!流れ的におかしくね!?
何で自分の方が犬になってんだァァァァァァ!!





近くの水溜りで自分の姿を写してみる。





なんか………可愛いっ!!


沖田は、まだ小さいポメラニアンの姿をしていた。自分でもそう感じてしまう可愛らしさだ。途端に、公園にいた子供たちやらギャルやらに騒ぎ立てられる。


しかしこのままではいけないと、ダッシュで屯所へ帰って行った。
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