誠乃戦隊
□十一、人間偽って生きてはゆけない
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侑個人に、大仕事の依頼がやって来た。近藤に呼び出され、その詳細を聞いた。
「密着って、どれくらいですか」
「3日間」
「きっぱりとお断り致します」
テレビの特番らしい。真選選唯一の女隊士の仕事とプライベートを取材することで、局は視聴率を上げたいらしい。
「そんなに悪い話でもないと思うんだよ俺は」
「大体好きではないんです。テレビに出演するとか、取材されるとか…」
「でもな、侑ちゃんがテレビに出ることによって、俺たちのイメージも良くなると思うんだ」
相次いで起こる真選組の不祥事。喧嘩っ早い連中や、どこぞの隊長の所為で街が破壊されかかっている。故に、市民が真選組に抱くイメージは下降し続けている。
「頼む侑ちゃん!真選組の為に、一肌脱いでくれないか!」
「一肌脱ぐのは局長の方です。私は何か褒美がないと、このようなことは出来ません」
「分かった!俺なら何回だって脱ぐから!何なら隊士の奴ら全員脱がせてもいいから!」
「いいえ。足りません」
今回は頑固な侑。腕組みをして、近藤を睨む。
「分かった。キョウリウジャー皆さんのサイン色紙でどうだ!」
「はい。日高侑、真選組のイメージアップの為、全力を尽くします」
ビシッと敬礼した侑。こりゃあ頼もしい!と近藤もビシッと敬礼した。
「おはようございます。今日から3日間、日高侑さんを密着取材致します。大江戸テレビ、火スペディレクターの角田です」
「おはようございます。真選組一番隊の日高侑と申します。よろしくお願い致します」
いつもは無表情な侑が、取材陣に向かってニッコリと微笑んだ。イメージアップの為の、基盤となる笑顔である。指示したのは土方で、兎に角特技の演技で乗り切れ。と言われていた。
取材陣にこの微笑みで、おお!と好印象を与えることが出来た。いいスタートだ。
「先日お話ししたことと、スケジュールは大丈夫ですか?」
「はい、勿論です」
「ありがとうございます。それでは、今から今日のスケジュールだけ確認しましょう」
「はい」
角田の話を真剣に聞いている侑。程よく相槌を打ち、真面目な警察官だということを取材陣に分かってもらう。
「それでは、よろしくお願いします」
「はい。こちらこそ、よろしくお願い致します」