誠乃戦隊
□九、ナンパする時はか弱い女の子で
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楽しい海水浴中で、女性が連れ去られる事件が多発している。普通のナンパなら警察が動くこともないが、女性はそのまま行方不明。これは人身売買も考えられると、真選組総出で警戒している。
「どうだトシ、怪しい男がいるか?」
「今のところはいねーな」
双眼鏡で辺りを見回す。今日も暑い為、海水浴を楽しむピチピチのギャルたち、肌の焼けたメンズたち、家族連れも多い。
「おお!」
「どうした近藤さん。何かいたか?」
「プリップリのギャルが、こっちに近付いて来るっ!」
「ったくこの人は…」
白い肌に赤いビキニが映え、形の整った胸は歩く度に揺れる。
「局長、どうなさったんですか。鼻血出てますよ」
「あ、侑ちゃんだったのかー。あははー」
ティッシュで鼻血を拭き取る近藤。そして鼻の穴にティッシュを詰めた。
「だらしねーよ、近藤さん」
「あの、他の方々も大丈夫ですか?」
侑を見て、ダラダラ鼻血を垂らしていた隊士たち。
「お前らもかよ!!」
「副長。少し見回って来ましたが、異状ありませんでした」
侑は水着で見回っていた。隊服のままだと、楽しんでいる人も見張られているようで楽しめないからだ。
ちなみに侑だけではなく、20ほどの隊士らが水着着用で見廻りをしている。
「そうか。それより総悟はどうした?お前ら一緒だっただろ」
「今はお一人で海に浮かんでらっしゃいます。自然に還りたいとかで」
「完全にサボりたいだけだろアイツ」
土方が見る青い海に、ぷかーんと浮いている沖田。彼も水着で見廻りをしている一人なのだが…。
「では、沖田隊長を一人にしておくと危険ですので戻ります」
「どういう意味だ?」
危険なのは女のお前だろ、と普通に思う土方。
「逆ナンというものから守らなければなりません。隊長の上半身は絶対に渡せませんから」
「お前ほどの変態はここにはいないと思う」
行って参ります。と沖田の所に向かおうとした侑。だが「オイ」と土方に少し呼び止められた。
「気を付けろよ。一応お前も女だ」
「一応だなんて…きちんとした女です」
胸をわざと寄せれば、ぶはぁぁっと鼻血を噴出した近藤。土方は大きな溜め息を吐いた。