誠乃戦隊
□六、カスタードクリームとマヨネーズの色は似てる
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侑は今日、非番である。いつも彼女が休日にどこへ出かけるのか。それは女の子のプライベートな問題だから、組の中で知る者はいない。
まぁぶっちゃけ、彼女が決まって行くのはヒーローショーが行われている場所である。よくも飽きずに行き続けられると思うが、それが彼女の力の源であるから仕方ない。
しかしだ。今日は違った。
朝早くから出勤前の土方を訪ね、このように訊いた。
「近藤さんと土方さんを負かした男がいるというのは、本当ですか?」
眉をぴくりと動かした土方。それだけは訊いて欲しくなかったらしい。
「うっせーな、負けてねェ。心折れてねーんだから」
「私、今日その男に会って来たいと思います」
「あ?仇討なら止めとけ。そんな心遣い願い下げだ」
「そんなことは致しません」
「まさかお前…」
侑の性格、趣味が分かってきた土方。そう勘づくと、彼女はこくりと頷いた。
「よくお分かりで」
「ったくお前の趣味は理解出来ん」
「されなくても結構です」
その後土方から情報をもらった侑は、かぶき町へと繰り出した。
侍は万事屋を経営しているらしい。その前にケーキ屋へ寄り、お土産として特別シュークリームを買った。全部で4つ。ちゃんと保冷剤も入れてもらう。
暑い中、侑はひたすら歩く。
そしてようやく、侍が経営しているという場所へ着いた。
二階へ続く階段を上り、玄関前に立つ。汗が滴り落ちるのを、タオルで拭きながらインターホンを押した。
「はいはーい!」
中から聞こえる男子の声。従業員がいるとは聞いていなかった侑。でも考えてみれば、一人で万事屋をしようなんて難しい話だと思った。
ガララ、と玄関の戸が開かれた。
「こんにちは。私日高侑と申します。銀髪パーマのオーナーさんはいらっしゃいますか?」
土方から名前までは聞けなかった。ただ銀髪パーマのクソ野郎と呼んでいたので、そう言うしかなかった。
「あ、はい。いますけど……と、取り敢えずどうぞ。上がってください」
侑はここの従業員である志村新八に案内され、万事屋の居間へと通された。
ソファに座ると直ぐ、侑にお茶が出された。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
辺りを見回して見ても、銀髪の侍はいない。いるのは新八と、もう一人の従業員である神楽、あと大きくて白い犬、定春である。
「神楽ちゃん、銀さん呼んで来てくれる?今シャワー浴びてるから」
新八は侑に聞こえないよう、神楽に言った。経営者がこんな時間にシャワーなんて…と思われることが嫌らしい。
「おぅネ」
神楽はダッシュで風呂場へ向かった。
その間、万事屋を構成する人員と一匹を紹介した新八。そこで初めて、侑はその侍の名前を知った。
「そうですか。あの、これつまらないものですがどうぞ。冷蔵庫に入れておいてください」
特別シュークリームを渡した。新八は申し訳なさそうにしたが、今度は嬉しそうな顔をし、冷蔵庫にそれを収めた。
「おーい銀ちゃーん。めっさキレイな…「どけェ神楽ァァァァァ!!」
銀時は神楽を押し退け、居間へ滑り込んで来た。パンツ一丁で。
そしてボロい扇風機をカチッと点け、風を感じている。
「シャワー浴びたっつーのに、どうしてこんなに暑いのかねー?」
「ちょっ、銀さん!お客さんの前で何してんスかっ!」
「え、客?」
銀時の瞳に、ソファに座っている侑が映し出された。見た目だけはいい侑が。