誠乃戦隊
□二四、祭りのメインが花火だとは限らない
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祭り当日。
あと少しでキョウリウジャーショーが始まる。BGMとして流れているエンディング曲にテンションが上がるものの、侑はステージから離れた屋台周辺を巡回していた。
はぁ、と落ち込んでいると、土方が侑の元へ来た。何か事件でも起きたのだろうかと思ったが、違う様子。もしそうであったら、直接ではなくトランシーバーで連絡がくるはずだ。
「交代だ。お前はステージ側巡回しろ」
「え、ステージ側ですか?」
「言っておくが、ステージ見せる為に交代するんじゃねェからな。ちゃんと一般市民の方に目を向けとけ…「ありがとうございます!」
副長が実は優しいこと、私知ってました!というようなキラキラした目で土方を見つめる侑。
「いやだから違うっつってんだろ!」
そう言っても、侑は聞かずにルンルン気分だ。
「それでは、ステージ側のパトロールに行って参ります!」
上手く人の間をすり抜けながら、侑は鼻歌まじりでステージ側に行ってしまった。
「…あーあ、やっぱり…シャリ、土方さんは…シャリッ…侑さんには甘ェ、シャリシャリ…ですね」
「シャリシャリシャリシャリうっせーなァ!!つか何でかき氷食ってんだよっ!?」
呑気にかき氷をシャリシャリと食べている沖田。仕事をナメきっている彼に、土方は抜刀しそうな勢いだ。
「やっぱりトシも、カリカリ…侑ちゃんに…カリ、嫌われたくないんだなー。シャリッ、うんうん、シャリシャリ…分かるぞーその気持ち」
「ってアンタもかよっ!!どうなってんだこの組織は!!」
「トシ!俺はかき氷じゃない!りんご飴を食べている!」
「んなこたァどうでもいいんだよっ!仕事しろ仕事!!」
何でこう自分には、上にも下にも問題児がいるんだ…と大きな溜め息。もうどうにかして欲しい。
キョウリウジャーオープニング曲が大音量で流れ始めた。そして可愛いお姉さんが登場し、子供たちにショーを見る時の注意事項を言い聞かせている。これはもうお決まりの流れだ。
[それじゃあ、おーおきな声でキョウリウジャーを呼ぶよ!せーのっ]
「「「キョウリウジャー!!!」」」
子供たちは大きな声で、そう呼んだ。たまに大きなお友達もそれに加わっていることがある。侑もその一人。
[グァーハッハッハ!呼んだかな?小さな小さな子供たちぃ。俺はディーボモンスターのウソハッキーだ!]
キョウリウジャーと呼んだのに、最初に敵モンスターが現れてしまうのも、いつものショーの冒頭部分である。そしてウジャウジャといる戦闘員が、子供たちを狙って会場を駆けまわる。お父さんお母さんにくっついて怯える子供たち。泣き出してしまう小さな子供もいる。
するとここで、キョウリウジャーが登場!という流れになる。侑はワクワクしながらその登場を待っていたのだが…
「ひっ、ひったくりィィィ!!誰か、捕まえてェェェ!!」
ひったくり事件が起きてしまった。