長編

□歪な作用
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「…遅くなっちゃったな…」


マフラーを少しずらし、呟いた。

通りすがった公園の時計を見る。


「…まだ起きてるのかな」


もう12時だけど。

そんな事考えながら、家に向かう足を早めた。








ガチャン

「柑ー?…って」

「おかえりー」


ドアを開けると、そこには体操座りで柑が待っていた。

…いま冬ですけど。


「こんなとこいたら寒いでしょ」

「あたしいい子で待ってたよ?えらい?」


…ダメだ会話になってない。


「ここさむいから風邪引くって」

「やだーここがいいー」

「…風邪引いても構ってあげないよ」

「ぁ、入る…」


やれやれ…








かちゃっ

「やっぱり寒いな…柑ちょっとこっちきて」


とりあえず自分のマフラーを柑の首に巻く。


「…霊、これいらない」

「あーもーいいから巻いてて」


また柑の細い首がちらっと見えて、今度は少しきつめに巻き直した。








「はい」

「…野菜キライ」

「だーめ。ちゃんと食べる」


柑の前にシチューの皿を置いた途端に嫌い宣言。

なんとか治らないものか…


「少しならもらってあげるから、一種類一つ位食べて」

「むぅ…」


しぶしぶ野菜を口に運ぶ。

いえば食べてくれるからまだいいと思う。

まぁ僕の皿に入ってくる野菜は相変わらず大量だけど。


「…ごちそうさまー」

「…半分位残ってるんだけど」

「お腹いっぱい」


…胃の小ささは変わらないなぁ…


僕は立ち上がり、空っぽの皿と半分残った皿を持ってキッチンへ向かった。




to be continued…

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