ジャンプ系→中・短

□気付く
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屋上 取って置きのサボり場
そして 唯一の喫煙場でもある





「コラ不良生徒」



『不良教師に言われたかねぇ』





物陰に隠れ携帯灰皿片手に黄昏ていると
何時ものように帽子をかぶり話しかけてくる
テニス部顧問 渡邉オサム





渡邉「身体に悪いでぇ?」



『重々承知』





きつく言う訳ではなく
アタシの隣に腰を下ろして一緒に黄昏れる
と言っても渡邉先生が一方的に話しかけてくる





渡邉「奏て部活入らんの?」



『面倒』



渡邉「青春は今しか出来ひんで?」



『絶対的にしなきゃならんもん?』



渡邉「相変わらず皮肉れとんなぁ」





運動が嫌いなわけではない
ただ 熱心に何かをしたことがない する気もないし
何事にも平均が一番楽
それを もったいない と言ってテニス部に勧誘しているのがこの人
正直 鬱陶し





渡邉「奏は冷めとるなぁ」



『生徒を名前で呼ぶのはどうかと思うけど?』



渡邉「そうかぁ?俺と奏の仲やん!気にしたらアカン!」





いやいやいや 渡邉先生とアタシ ただの教師と生徒ですから
誤解を招くような言い方止めてください





渡邉「一回見に来て損はない思うんやけどなぁ」



『暇ない』



渡邉「そうには見えんで?」



『こう見えて多忙』





毎回 サボるたびに勧誘
勿論屋上限定って訳じゃない
何故か アタシがサボる場所に渡邉先生が来る
サボる場所を知っているのは同じクラスの金色だけのはず…
あの金色が口を滑らすわけがない
つまり 監視?





『何で毎回会う?』



渡邉「ん?愛のなせる術ちゃう?」



『ふざけんな』



渡邉「えー、こう見えて結構マジやで?」





これも日課
テニス部マネ勧誘の後は恋人にならないかと言われる
誰がなるか 何歳離れてると思ってんの?





渡邉「恋に年の差なんて関係あらへん!」



『渡邉先生が良くてもアタシは良くないから』



渡邉「その“渡邉先生”って良いにくない?」



『逆に“オサムちゃん”ってのが言いにくい』





不満そうな声をあげて
拗ねたような表情でアタシを見る
…いくつだ





『はぁ…とにかくテニス部マネにもならないし恋人にもならない』



渡邉「我儘やなぁ」



『何でそうなる』



渡邉「せやったらマネ兼恋人やったらどや?」





どや? じゃないよ
そこで あ、そうだね とか言うと思う?





『断固拒否』



渡邉「ま、時間の問題やと思うけどなぁ」





よっこいしょ と言いながら腰をあげる渡邉先生
時間の問題?どうゆうこと?





渡邉「俺な、惚れた子は必ず落とす主義なんや」



『は?』



渡邉「いつかわかるわ」





と 言い残し屋上から出ていった

……マジで?
いやいやいや ただの戯れでしょ
…いやいやいや 何ドキドキしてんのアタシ
去り際の不適な笑みが格好良いとか思ってない!





『はは…ありえん』





取り敢えず現実逃避の為
もう一本吸うことにした





(金色、渡邉先生に行き先教えた?)
(そんなんするわけないでしょ?どないしたん?)
(会う率が高すぎる…)
(愛やろ!)
((違う!…と言い切れない…))


((今頃悩んでるやろうなぁ))
 

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