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□ぬらりくらり
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ぬらり くらり
今日も来たのか
さて 何の話をしようかな





「よぉ」



『きたか、ぬらりひょん』



「何じゃ?待っとんたんか?」



『タダ飯食いにくる奴…誰が』





と言いつつも用意している自分が腹立たしい





「今日、珱姫に会ってきた」



『ほぅ、元気そうだったか?』





適当に相槌をして
月を見ながら酒を飲む
ここ数日は珱姫の話ばかりだ
惚気を聞く側にもなれ





「のぅ、奏」



『なんだ?まだ続くの…っ!?』





何時の間にか距離を縮められ
息がかかるぐらいに顔が近い





『な、ななななな!?//////』



「ククッ顔が真っ赤じゃなぁ」





ニマニマしながら
アタシの顎を掬い 髪を撫でる





『ふ、ふざけるな!離せ!ぬらりひょん!』



「ワシはふざけてないぞ?いたって真剣じゃ」





ぬらりひょんが真剣?
ぬらりくらりと生きているのにか?





「何故毎日珱姫の話をするか…分かるか?」





目を細め問い掛けられる
知るわけがない
畏れに当てられているのか身体に力が入らない
ゆっくりと首を横に振る





「はぁ、鈍感とは聞いていたが…ここまでとはなぁ」



『だ、れが』





顎を掬っていた手は後頭部に
髪を撫でる手は腰に回った
な…何?
視界は ぬらりひょん の顔
唇は何故か温かく柔らかい
チュッと鳴った音で
ようやく気付いて





『な…んで』



「ワシが一言でも“珱姫が好き”なんて言ったか?」



『それでも…』



「ワシが好きなのは、ワシが欲しいのは…奏、お前じゃ」





強く抱き締められ耳たぶに舌が這う
クチュッと粘着質な音が羞恥心を増大させ
キツく目を閉じ ぬらりひょん の肩を握る





「奏、ワシの女になれ」



『…拒否権は?』





耳元から顔を放し
意地悪そうな表情で





「あるわけないじゃろ。ワシを惚れさせたアンタが悪い」



『偉い責任転換だ…でも…悪くない』





ポスリッと ぬらりひょん に身体を預けると
満足気に膝の上に座らせ髪に付けていた簪を取られる





「これはもぅ付けるな」



『は?』





ポイッと庭に投げ捨て
ぬらりひょん は懐を探り





「これを付けろ」





差し出されたのは 金と黒が編み込まれたような模様の簪
…まさか





『嫉妬?』



「……」





いやいや 顔を真っ赤にして目をそむけられても
あからさまの行動に
思わず笑ってしまった





「…どうやら、お仕置きが必要らしいのぅ」





その笑みに アタシの顔が引きつったのは
言うまでもない





(こ…腰が)
(もぅ無理か?)
(妖と一緒にしないでほしい)
 

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