他→中・短

□苦手代表
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アタシは絶賛危機的状況に陥っております
理由?





静雄「いぃぃざぁぁやぁぁ!」



臨也「ダメだよシズちゃん。んなんじゃ当たらないって」





アタシの働いているバーで
苦手代表の二人が顔を会わせてしまった
フッ もう笑いしか出ないよ
店長店員客は皆逃げ出していた
何故アタシだけが残っているのか
それは





静雄「おい…そろそろ退け」



臨也「良いじゃん別にぃ」





そう 平和島静雄と折原臨也はアタシを挟んで喧嘩を始めているのだ
最初のうちは逃げ惑っていたけど
逃げるところ逃げるところに折原臨也が居て
つまり平和島静雄も追い掛けてきて





『はぁぁぁぁぁ』



臨也「あれ?この状況でため息?余裕だねぇ」



静雄「チッ…邪魔だ女ぁ!」





とうとうアタシに攻撃をする平和島静雄
そしで何故か折原臨也もアタシにナイフを向けていた
そうか これはキレて良いんだよな
平和島静雄の持っていたソファーを受け流し
折原臨也のナイフをソファーで受け止める





静雄「なっ!?」



臨也「へぇ…」





バッと二人はアタシから距離を取って
警戒心と殺意剥き出しに問い掛けてきた





静雄「テメェ…何者だ!」



臨也「俺のナイフを交わすなんて…ねぇ、アンタ何者?」





好き勝手に暴れた挙げ句
付けを払いに来た客すらも逃げてしまって
営業が出来ないほど崩壊させるどころか
女相手に二人がかり?





『……ろよ…』



静雄・臨也「「は?」」





ビリビリと光っているコードを引き契り
端と端を平和島静雄と折原臨也の腕に巻き付ける





『いい加減にしやがれ!ガキがぁぁぁぁ!』





ドコンッと大きな音がした。元凶は
二人の腕に巻き付いているコードを思いっきり引っ張り
前のめりになった二人の頭を鷲掴みにして
デコとデコをぶつけた
中途半端な力じゃ直ぐに反撃してくると思い
有り得ない程の力でぶつけた為
有り得ない程の音がしたというわけだ





静雄「っっ!?テ…メェ!」



臨也「流石に…イテェ…」





蹲ってる二人の腰のベルトを持って店の外に放り出した
ポカンッと周りの人達が視線を送るが
知ったこっちゃ無い
ドンッと地面を踏み締め二人を見下ろしながら





『で?アタシの働き口、どうしてくれんの、お二方?』



静雄「俺が知るわけ」
『テメェ等の所為だろうがよ』



臨也「アハハハハ!シズちゃん情けない!」
『例外じゃねぇぞ』





反省の色すら見えてない二人の頭に一発づつ殴る
大きなタンコブを作った二人はコンクリートの上で土下座





『始末を付けるのが大人のやり方だ。何時までもガキやってんじゃねぇ』



静雄「何で俺が…」



臨也「だいたいシズちゃんが…」





またしても喧嘩を始めそうだったので
キツく睨むと 光の速さで目を逸らされた





トム「あれ?静雄!?なにやってんだよ…しかも臨也まで…」





人込みから身を乗り出したのは
取り立て屋のトムさん
うちの店(もぅ使えないけど)も数回お世話になった





『トムさん、ちゃんと首輪付けといて下さい』



静雄「首輪!?テメェ!俺を何だと」
『黙れ』



トム「あらぁ…まぁまぁ、今回は見逃してよ」



臨也「足が…痛い…」





トムさんの説得により今回は見逃す事にした
今度アタシの働いている職場を荒らすようなら…と釘をさして
店内へ戻り制服を脱いで私服に着替え荷物を持ち
またプーかよ…
はぁっとため息を吐いてブラブラと街を歩く





臨也「やぁ」



『折原…臨也』





電柱にもたれ
片手を上げて存在を主張する折原臨也を
無視しようと思ったが キラリッと光ナイフが見えたので
足を止めた





『用は』



臨也「いやー強いねぇ。名前は?」



『情報屋だろ?聞いても無意味だと思うが?』



臨也「君みたいな子、ノーマクだったからさぁ」





仮面のような笑顔に
少しだけ悪寒を感じた
名前ぐらいなら大丈夫だろ
別にアタシは渋谷で有名ではないし





『咲兎だ』



臨也「咲兎…ねぇ」





眉間にしわを寄せて何か思いついたのか
パチンッと両手を合わせアタシを指差し





臨也「もしかして大阪代表の咲兎?」



『は?』



臨也「あの喧嘩の強さ、うんうん、シズちゃんに勝てるわけだ」





誰かこの妄想野郎をどうにかしてくれ
このまま一緒に居ても
無駄な時間を過ごすだけだと判断したアタシは
折原臨也をほったらかしにして横切る





臨也「ねぇ」





横切る直前に手首を捕まれ
強制的に制止させられた





『アンタの妄想に付き合ってる暇ねぇの。折原臨也』



臨也「あ、俺の事は臨也って」
『誰が呼ぶか。折原臨也、離さねぇと折るぞ』



臨也「おっかないねぇ、シズちゃんみたいだ。まっシズちゃんより咲兎のが数千倍好きだけどね」





サラっと言われた爆弾に
対応しきれないアタシの頭はボンッと音を立ててショートした





静雄「いぃざぁやぁくぅん」



臨也「はぁまたシズちゃんか」



『それはこっちの台詞だ』





流石の平和島静雄も
ついさっきの出来事で
いきなり折原臨也に攻撃を仕掛けない
だが 殺したい と本能が呼び掛けるのかジリジリと距離を縮める





静雄「…何で手ぇ繋いでんだよ」



臨也「イヤだなぁシズちゃん。野暮な事聞かないでよ」



『テメェも誤解を生むような発言してんじゃねぇよ』





このままじゃまた乱闘になる
仕方ないけど これは正当防衛だ
捕まれていた腕を振りほどき
折原臨也の首元の服を掴み思いっきり振り上げる





臨也「何で俺ぇ!?」





空を舞う折原臨也に ニヤリと笑いながら見送る
アタシの計算では直ぐにでも平和島静雄は追い掛けるはずだった
だが





静雄「…なぁ」



『…はぃ?』





何で居るの
殺したい程憎いなら追い掛けろよ
そしてアタシをうちに帰してくれ





静雄「その……悪かったな」





顔を真っ赤にして 外方向いて言う平和島静雄に
物凄いギャップを感じて 思わず笑いが出てしまった





静雄「テメェ…人が謝ってんのに」



『悪ぃ、あまりのギャップでな』





笑いを止めて 平和島静雄に向き直る
なりはアレだが良い奴っぽいな





『咲兎だ。またな平和島静雄』



静雄「…静雄で良い。じゃぁな」





後ろ手に去っていく平和し…静雄はちょっと格好良かった





(…何で家に居るの)
(俺だけ名前呼ばれてないからねぇ)
(はぁ…呼んだら帰るか?)
(ちゃんと目見てね)
(……臨也)
(それじゃぁ付き合おうか!)
((脳内がハッピー過ぎて付いていけない…はぁ))
 

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