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□サタンの息子
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サタン
両親を目の前で殺し
アタシの背中に消えない傷を付けた悪魔
その息子が今ここに居る





「咲兎!おはよ!」



『おはよう。燐』





太陽のように キラキラした笑顔で
何時ものようにアタシに近付いてくる燐
でも 今回は違う
バッと肩を引かれ竜二がアタシと燐の間に立つ





『竜二…』



「よく…咲兎に顔出せたなぁ」



「何の話だよ…」





アタシの事を知っているのは
竜二と理事長だけ





『良い。アタシの問題だから』



「咲兎!せやかて!」



『ありがとう。竜二』





笑顔で言うと
苦虫を噛み潰したような表情で席に戻る





『ちょっと話せる?』



「…あぁ」





奥村先生に許可を貰い
終始無言で屋上に足を進める

サァッと冷たい風が二人の間をかける





『話があるの』



「…サタンの…事か?」





アタシは一言一句丁寧に分かりやすく話していく
だんだん燐の表情は暗くなっていくが
聞いてもらわないと意味がない





『…これが、アタシとサタンの関係。そして、知っているのが竜二と理事長』



「それで勝呂の奴…」





さて 問題はここから
さっきから理事長は高みの見物だし
弟である奥村先生は物陰に隠れて様子を伺っていた
…気配ぐらい 消そうか





『奥村燐』





背中に掛けていた刀を抜き
殺気と共に問い掛けられる





『お前は…人であるのか?それとも、悪魔であるのか?』



「ぉ…俺は…」





目をつぶり
少ししてまた開く
目には 青い炎が見えた





「俺は…人間だ!」



『……そっか』





刀を直し
何時もの笑顔で燐の頭を撫でる





「へっ?」





拍子抜けしたのか
間抜けな声を出し
目を点にさせた





『何だ?殺すと思ったのか?どんなけ非情だ』



「っ…でもよ…俺は!」



『サタンの息子だろうが半分悪魔だろうが……アタシ達はダチだろ?だから、んな顔すんな』





一瞬明るくなったが
また複雑そうな顔になった





「…なぁ」



『まだ何かあるのか?』



「…良いや!教室に戻ろうぜ!」





吹っ切れた表情でアタシの手を引き
喋りながら教室に戻った

中に入ると 竜二達が驚いていたのは言うまでもない





(ダチ…はぁ)
(気を落さないで兄ぃさん)
(まぁ咲兎さんの鈍感は今に始まった事じゃ無いですよ)

(何で仲良くなってるんや)
(謎や…)
(咲兎さん…何でや…(相手はサタンの息子やのに…))
 

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