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□緑高の日
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「真ちゃん!」

「なんなのだよ」

体育の時間、突然高尾が
声をかけてきた。
今日はプール掃除の日で、
俺はひとりもくもくとデッキブラシで
掃除をしていた。
そこへやってきたのが高尾。
高尾は手に水いっぱいのバケツを
もっていて、目を輝かせながら
俺に話しかけてきた。

「真ちゃんさー、暑くない?」

「別に、そこまで暑くないのだよ」

「またまたーw嘘つくなって」

なぜこいつはこんなにも
テンションが高いんだ。
まるで水遊びをする小学生のような…

そんなことを考えていたら
クラスの男子が高尾に近づいてきた。

「おーい高尾、サボってんな、よっ!」

そいつが持っていたバケツから
水が放たれてバシャッと
高尾の全身にかかった。

「うわあああ!!何!?つめた!?」

びしょ濡れになった高尾は
案の定、突然の襲撃に焦っていた。

何をやっているのかと
呆れたのも束の間、
俺は高尾の姿に固まってしまった。

「…うーわ、びっしょびしょwww」

呑気に笑っている高尾は
きっと気づいていないのだろう。
高尾は白のシャツを着ていたせいか
水でシャツの下が透けていて
そのシャツが肌に張り付いていて
なんというか…エロい。
それにプラスして問題なのが、
朔日の行為で残った無数の紅い痕。
シャツが透けたせいでその痕まで
くっきり見えていて、流石に
動揺を隠せなかった。

「真ちゃん?」

ずっと黙り込んだままの俺を
不審に思ったのか、
ぐっと顔を覗き込んでくる高尾。
身長差のせいで自然と上目遣いに
なってしまい、俺は咄嗟に
目をそらしてしまった。

「どうしたんだよ真ちゃ…っ!」

「ちょっと来い」

「え、何!?」

俺は高尾の手を掴んで
プールサイドに上がり、
ベンチに置いていた自分の
替えのシャツを高尾に押し付けると
そのまま高尾と更衣室に入り込んだ。

「え…なんだよ真ちゃん?」

「いいから、早くそれに着替えるのだよ」

「でもこれ真ちゃんのだし…
大丈夫だって!こんなんすぐ乾くって…


「………………痕が」

「痕?」

「その…痕が見えているのだよ」

「…へっ?」

眼鏡を押し上げて視線を逸らすと
意味がわかったのか、
高尾は一瞬で顔を真っ赤にした。

「そ、そーゆうことだ…
だから早く着替えろ」

それだけ告げて、
赤くなった顔を隠すかのように
部屋を後にする。

「……し、真ちゃんのバカ…」

顔を赤らめながら照れ隠しかのように
悪態をついてみても、誰もいない
更衣室に吸い込まれていくだけだった。


END
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