桜、舞い散る
□討伐命令
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場内がざわめき始める。
「どこの隊の者だ」
「あんな奴見たことあるか?」
「何者だ?」
「さぁ?」
どこかしこで、謎の人物についてさぐり合っている。
それを尻目に是音と紫鴛は同じことを思っていた。
((あれは――))
哪吒の隣に来るとその者は跪く。
「牛魔王討伐にあたり、この者も討伐の人員として加える」
「なッ!?どういうことですか!」
下がっていた李塔天が声を荒げる。
「李塔天、例え哪吒が強いといえど今回は大妖。念には念を入れといたほうがよかろう」
「それでは、哪吒を信用なさってないと言うことですか!!!牛魔王の討伐など哪吒一人で充ぶ――」
「李塔天殿、控えられよ」
天帝の隣に立つ者が言い捨てる。
「こやつは信用のおけるもの。それに腕も立つ。哪吒を信用してないわけではないが、きっと役に立つ。共に討伐を命じる」
返事の代わりに、二人は深くこうべを垂れた。
こうべを垂れてすぐ謎の人物は立ち上がりさっさと場内を出て行った。
その間、哪吒は呆然とその人を見ていた。