桜と永久の約束
□朋との誓い
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『―――お願い、その時が来たら……』
遠いあの日を思い出し、目を閉じる。
◇◆◇
天帝城は、嵐の前の静けさのように静まり返っていた。
空気が張り詰め、不穏な空気を漂わせていた。
そこで、二人は悲しげな笑みを交わす。
それは、別れの挨拶のようにも感じられる。
『――観世、貴方に頼みがあるの』
決意を秘めた銀色がそう告げた。
『……なんだ?』
『……時間が、ないの。彼らの“時”が動き出してしまった…終焉へ向かって』
『……』
『貴方、言ってたわよね。あの日―――私が神は誰に願いを乞うのかと、問うた日のこと』
『“親友の願い、俺が叶えてやるよ。但し、お前の心から望む願いのみだ”』
“彼女”は刀を差し出す。
それは、いつも任務に向かうときに必ず腰にぶら下げてた彼女の剣。
『時が来るまで持っていて欲しい。これが必要になる日がいずれ訪れる。それは願いを叶えるために必要なの』
『その、“時”ってのはいつの話だよ』
『いずれ分かる。剣が教えてくれるわ』
『………』
「叶えてくれるんでしょ、神様」
「―――ああ。それがお前の、心からの願いならな。――約束は必ず守る』
『じゃあ…私行くわ』
『おい、願いをまだ―――』
女は菩薩の横を通り過ぎようとする。
そして、彼女は神に願った。
――その時が来たら……
―――それは、朋と交わした最初で最後の約束。
◇◆◇
「菩薩、大変です!!!」