桜と永久の約束

□朋との誓い
2ページ/3ページ




『―――お願い、その時が来たら……』



遠いあの日を思い出し、目を閉じる。





◇◆◇




天帝城は、嵐の前の静けさのように静まり返っていた。
空気が張り詰め、不穏な空気を漂わせていた。



そこで、二人は悲しげな笑みを交わす。
それは、別れの挨拶のようにも感じられる。
 


『――観世、貴方に頼みがあるの』



決意を秘めた銀色がそう告げた。




『……なんだ?』


『……時間が、ないの。彼らの“時”が動き出してしまった…終焉へ向かって』


『……』


『貴方、言ってたわよね。あの日―――私が神は誰に願いを乞うのかと、問うた日のこと』



『“親友の願い、俺が叶えてやるよ。但し、お前の心から望む願いのみだ”』





“彼女”は刀を差し出す。



それは、いつも任務に向かうときに必ず腰にぶら下げてた彼女の剣。



『時が来るまで持っていて欲しい。これが必要になる日がいずれ訪れる。それは願いを叶えるために必要なの』


『その、“時”ってのはいつの話だよ』


『いずれ分かる。剣が教えてくれるわ』


『………』


「叶えてくれるんでしょ、神様」


「―――ああ。それがお前の、心からの願いならな。――約束は必ず守る』



『じゃあ…私行くわ』


『おい、願いをまだ―――』




女は菩薩の横を通り過ぎようとする。




そして、彼女は神に願った。





――その時が来たら……




―――それは、朋と交わした最初で最後の約束。





◇◆◇




「菩薩、大変です!!!」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ