桜、舞い散る
□先見、それぞれの願い
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どこまでも続く、闇。
桜花はそこにいた。
「……ここは?」
じっと意識を凝らしていると、声が頭の中に流れてきた。
『殺せ、今この場で』
『俺の名前さ――悟空ってんだヨロシクな』
『下界の桜の下で会おう』
『もう引き返せねぇな』
『───本当はね、なんだっていいんです。憶えていてくれるならどんな事だって』
『…ふん、方法だ?始末すりゃあいいだけの話さ』
『父上を傷つける者は誰であろうと殺す』
それは波紋のように広がっていく。
―――ヤメテ、キキタクナイ
『コレはまだ使える』
『ホラ…そこの木の…――うえのほうのとこ…とりの巣…があるんだ。……みえるだろ?』
流れてくる景色。
響く声、叫ぶ声。
―――イヤダ、ヤメテ
『…ふ、ふははははふはははは!』
『逃げろ悟空!!』
―――イヤダ、ヤメテ。ミタクナイ
「いやっ、やめてぇ!!!」
「桜花!!!!」
声が聞こえた。
「っ!!!」
意識が覚醒する。
目を見開く。背中に嫌な汗が滲む。
ドクドクと心臓の音が耳につく。
視界が滲んでいた。
「大丈夫か?」
伸びてきた腕に抱き寄せられる。
桜花はただその胸に顔をうずめた。