桜、舞い散る
□帰還、痛む体
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――天界・天帝城
天帝城へ続く大きな門が開かれる。
開門と同時に、討伐から帰ってきた東方軍が現れる。
その先頭を、全身血だらけの少年が歩く。
「哪吒様…哪吒様!!」
「大丈夫でございますか、哪た…」
哪吒の世話係は彼に手を伸ばす。
「──触るな…!!」
「あ……」
心配して触れようとした部下の手を、哪吒は払いのける。哪吒が睨みつけると、あっさり離れていく。
「──哪吒!!」
哪吒を呼ぶ声が響き渡る。
悟空はまっすぐ傷だらけの少年のもとに駆けてくる。
その後ろを捲簾がついて行く。
「哪吒!大丈夫かよ!?」
「…お前、この間の──」
言いかけたところで、哪吒の体が傾き、悟空に倒れ込む。
「!!哪吒…!!」
哪吒は悟空の腕の中で気を失う。
「…!救護班!布を持ってこい!!」
捲簾は部下に命じて、哪吒の処置を始めた。その間、悟空は決して彼の手を離そうとしなかった。