桜、舞い散る
□牛魔王討伐、紅の王子
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――天竺国・吠登城
「おい、奴は何故来ないのだ?」
「怖くなって、逃げ出したんじゃないか?」
「これで、俺らはただ見てれば任務は終了だ」
「楽なもんだぜ、これも哪吒様様のおかげだな」
東方軍の兵たちは集まって談笑している。
その遥か前方で哪吒は独り城を眺めていた。
『ごめん、必ず後から行くから。先に行ってて。私にはやらなければならないことが残っているの』
そう言って、哪吒と桜花は別れた。
(あいつは必ず来る)
強い風で哪吒の髪が煽られる。
「先に行くぜ、桜花」
哪吒は城に向かって駆け出した。
紫鴛は、一人哪吒が駆けていくのをただ見つめるだけだった。