桜、舞い散る
□大将と金の瞳、消えた桜
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――天帝城・廊下
カッ カッ カッ カッ カッ
…ッ コッ コッ
カッ コッ カッ コッ
スッ、とすれ違う、敖潤と捲簾。
「──おい。上官と擦れ違ったら挨拶ぐらいしたらどうだ」
「……。あ──そりゃどぉも」
そう言うと捲簾は、ペコリと頭を下げ、
「こんにちは。」
そして、くるりと踵を返す。
「さよぉなら。」
そして、捲簾は去っていこうとする。
「……捲簾大将」
呆れたように言う敖潤に、捲簾が振り向く。
「…んだよ、うるせえなあ。ヒマじゃねーんだよ俺も」
「腰から酒瓶下げてる奴の言う台詞か」
「燃料だから、コレ」
おちゃらけた調子で捲簾は返す。
「──くだらんな。天蓬元帥の存在がなければ貴様などとっくにお払い箱だ。優秀な副官に感謝することだな」
「……ははッ。そっちこそ、その優秀な飼い犬に噛まれねえよーに気ィつけな」
「何……?」
「そいじゃーね♪」
捲簾はひらひら手を振りながら去っていった。
「……」
敖潤は黙ってそれを見送った。