桜、舞い散る

□穏やかな時間
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桜花は廊下を歩き、“そこ”に向かっていた。
向かう先はいつも同じ。
愛し子と無愛想な顔のその人は、いつもそこにいる。
そこは、私のことを待っていてくれる場所。



「どうも、失礼するわね」


「あ、桜花姉〜」



ベットで寝転がっていた悟空は起き上がり、桜花に突進する。



「わぁっ!?」



桜花は驚いた声をあげる。



「どうしたの?」


「今日、一緒に寝てもいい?」


「??あ…いいわよ。でも…」



悟空のベットは悟空サイズに作られているため桜花には小さいものだ。



「桜花」



金蝉が声をかける。



「何?」


「来い」


「…いいの?狭くなるわよ」


「そっちはお前には狭いだろ」



素っ気ないながらも金蝉にしては優しい態度だった。



「……」


「さっさとしろ、悟空来い」


「あ…うん!!!」



悟空は嬉しそうに駆けていき、金蝉の横に寝る。



「お前もだ、桜花」


「桜花姉、早く」


「…そうね。じゃあお言葉に甘えて」


「…ったく」



金蝉はわざとらしく溜息を吐くと、部屋の明かりを落として、自身もその身体を横たわらせる。
広くはないベッドに身体を寄せ合い、三人は川の字に並んだ。


悟空を挟んで金蝉と桜花は向かい合って寝る。
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