桜、舞い散る
□二人の愛し子
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――天帝城・廊下
扉をバン!と開き、金蝉がズンズンと廊下を歩く。
「──何処に行きやがった!?あのクソチビ猿!!」
「こ…金蝉様、今度は何が…?」
「重要書類を折り紙にしやがったんだよ!!」
ここ最近毎日のように、金蝉は怒っている。
一人の幼子のせいで。
「お前らも探せ!今日こそはただじゃおかねえ」
「はッ!」
「ブッ殺す!」
ぞォ――〜
(こえ〜〜〜)
金蝉達のやり取りを聞きながら、柱に隠れてやり過ごす子猿が一匹。
「キレーなのにすぐ怒るんだよなアイツ。よくぶつしさ。
それにくらべ桜花姉ちゃんはいつも優しい。はぁ、桜花姉に会いたい…」
その場から逃げる為、軽く小走りをする。
「とりあえず隠れとこっと」
ジャラ
歩く度に足枷と手枷の音がする。
「………」
――重いとか、痛いとか、冷たいとか
――そんなのはたいしたこないんだけど
(邪魔だなぁ)
…よくわかんないけど
俺、花果山にいちゃいけなかったのかな
空は青くて、緑がたくさんあって
水は冷たくて、風はあったかかった
会う人も優しかったんだ
ここは何だか皆つまんなそうだけど
───でも
あの金色は太陽に似てて何だか居心地し
それに桜花姉の銀の瞳を見ると落ち着くし
頭撫でられるの好きだから
(…ここに隠れちゃえ。何だろこの部屋?まいっか)
とりあえず、と入った部屋で、彼らは運命の出会いを果たす。
「───おい」
そこには、
「───誰だ?お前」
彼と同じくらいの子供が、そこにいた。