桜と永久の約束
□小夜の子守唄
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三蔵が去ったあと、一人残された桜。
窓から入ってくる弱い風が、彼女の黒髪を緩やかに撫でる。
コンコン。
乾いた音が部屋に響く。
それは誰かがドアを叩く音。
「はい」
返事をすると、静かに扉が開く音がした。
そこには、、、
「ぁ、あのさ」
聞こえた声は―――。
「悟空?」
「うん。入ってもいいかな?」
「ええ、どうぞ」
ベッドに座る桜は隣をポンポンと叩いた。
悟空はドアを閉め、桜の横に座る。
持ってきた枕を抱いて座る。
「どうしたの?」
「あのさ、桜と話がしたくてさ」
「私と?」
「うん。俺ら、数日後にはこの街から出て行くからさ。それまでにさ、なんかたくさん話したいな、って思ってて」
「うん」
「いきなり、こんなことに言われても困るかもしんないけどさ」
悟空は落ち着かない感じでしどろもどろに話す。
そんな様子が感じられて、桜はクスリと笑う。
「――ちょうど良かった」
「へ?」
「私も悟空とお話したかったの」
「ほんとか!!?」
「ええ、私は何も覚えてないから何も話せないけど。――貴方たちのこと教えて」
「うん!!」
夜空に登る半月が二人を優しく見つめる。