桜と永久の約束

□予感、それは。
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三蔵一行は西へ進む。
現在、ジープで森を進むことができず、森沿いを遠回りにゆっくり進んでいた。



「…なんか、今日はやたらと静かですね」



八戒はジープを運転しながら、鏡を見て後ろを見る。
その目には、後ろの座席で膝を抱え丸くなって座っている悟空の姿。



「ふん。いつもこれくらい静かだといいんだがな」



八戒と同じく、三蔵も鏡越しに悟空を見やる。



「おい、猿。お前が静かだと、ちょーし狂うんだよ」



悟浄は隣に座る悟空の頭をグリグリと荒々しく撫でる。



「う〜ん…」



いつもは猿と言われ飛びかかってくるはずの悟空は、悟浄の言葉に何も反応しない。



「…どうしちまったんだ、こいつ」


「悟空、どうかしましたか?」


「う〜ん」



その声は、返答の声ではなく、悟空は膝に顔をうずめてうんうん唸っている。



「だ〜っ。うざってぇ!!!」



三蔵は、どこからともなくハリセンを取り出し立ちががり後ろを振り向くと悟空の頭をはたく。



「ったあ!!何すんだよ!!!!」



涙目になった顔が三蔵の顔を睨む。



「お前が、何の反応もしねぇからだろーが!!」


「三蔵、ゆっくり走ってるとはいえいきなり立ち上がらないでください」



「っち」



八戒に諭され三蔵は渋々座る。
そんな三蔵もいつもと様子が違った。
八戒は横目で助手席を見ながら、彼が何も言わないので何も聞かない。



「おい、どうしたんだ悟空?悪いものでも食ったか?」



悟浄はニヤリと笑う。



「そんなん食ってねーよ!!ただ…」


「どうしたんですか、悟空」


「ただ…」



悟空は空を見上げる。
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