桜と永久の約束
□朋との誓い
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――天帝城・地下牢前
一つの牢に近づく二つの影。
「おいおい、どういうことだ」
「さっき申した通りの状況です」
「魂のない抜け殻だと?」
観世音菩薩と二郎神は静かに牢の中の者を見る。
彼らの前には手足を錠で繋がれた女。
手足に課せられた鎖が彼女の四肢を拘束する。
「どこに行きやがった。ここには、結界が張ってあるから出て行ったなら気づくはずなんだがな…」
「…目覚めたのでしょうか?」
「さぁな。ここに残っているのはただの器だ。あいつのことだ…散歩にでも行ったんじゃないか?」
にやりと菩薩は笑う。
「冗談を言っている場合ではありませんぞ!!他の者にこのことが知れれば…」
「上のやつらがこいつを利用して、また何かやらかす…だろうな。あれから500年、落ち着いたとはいえ、まだごたついた部分はあるからな」
「どうするのです、菩薩」
「どうするもこうするも、探すしかねーだろ」
「…一体どこを探せというのですか」
はぁ。と二郎神は重いため息をつく。
そんな時、ざわざわと上が騒がしくなる。
ドタドタと駆けていく足音がいくつも聞こえる。
「何事でしょう?」
上に行って、何が起こったか聞いてきます、と言って、二郎神は牢を離れ地下牢と天帝城につながる階段を行く。
観世は黙ってそれを見届け、鎖につながれた『彼女』を見据える。