桜と永久の約束

□朋との誓い
1ページ/3ページ



――天帝城・地下牢前



一つの牢に近づく二つの影。



「おいおい、どういうことだ」


「さっき申した通りの状況です」


「魂のない抜け殻だと?」



観世音菩薩と二郎神は静かに牢の中の者を見る。
彼らの前には手足を錠で繋がれた女。
手足に課せられた鎖が彼女の四肢を拘束する。



「どこに行きやがった。ここには、結界が張ってあるから出て行ったなら気づくはずなんだがな…」


「…目覚めたのでしょうか?」


「さぁな。ここに残っているのはただの器だ。あいつのことだ…散歩にでも行ったんじゃないか?」



にやりと菩薩は笑う。



「冗談を言っている場合ではありませんぞ!!他の者にこのことが知れれば…」


「上のやつらがこいつを利用して、また何かやらかす…だろうな。あれから500年、落ち着いたとはいえ、まだごたついた部分はあるからな」


「どうするのです、菩薩」


「どうするもこうするも、探すしかねーだろ」


「…一体どこを探せというのですか」



はぁ。と二郎神は重いため息をつく。
そんな時、ざわざわと上が騒がしくなる。
ドタドタと駆けていく足音がいくつも聞こえる。



「何事でしょう?」



上に行って、何が起こったか聞いてきます、と言って、二郎神は牢を離れ地下牢と天帝城につながる階段を行く。



観世は黙ってそれを見届け、鎖につながれた『彼女』を見据える。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ