ver.ボケ

□★-ナルシス
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「ねぇねぇ」

「ん」


ある番組の収録が終わり、
俺達は楽屋で待機していた。

ソファで雑誌を読みながら
一服しているとソファの後ろに
立っていた三村が俺に話しかける。


「大竹さんの煙草と同じの吸ってる人ってあんまり見なくない?」

「そう?」

「アメリカンスピリット…だっけ?」


うん、と俺が返事をする前に
三村が火のついた煙草を持っている俺の腕を掴み、
自分の顔に近づけ、俺の吸っていた煙草に口をつけた。


「…まず!」


顔をしわくちゃにさせて
煙を出す三村に思わず吹き出す。


「なんでこんなの吸わせんだよ!」

「自分で吸ったんだろ?」

「こんなまずいとか聞いてない!」

「知らねぇよ」


うるさい三村を横目に
引き続き煙草を吸う。

すると、
三村が俺の隣に座った。


「貸して!」

「ちょ、危ね」


三村が突然俺の吸っていた
煙草を取り上げる。


「お前!火ついてんのに危ねぇだろ!」


そう言いながら三村の方を見ると
さっきよりも顔をしわくちゃにさせて
俺の吸いかけの煙草を吸っていた。


「…オイシクナイ」

「じゃあ、なんで取ったんだよ」

「だって、大竹の好きな物は俺も好きになりてぇんだもん」

「…は?」

「だから!大竹と好きな物とか全部同じがいいの!」


三村はそう言い放つと
また煙草を吸い始めた。

顔のしわくちゃ加減が
どんどん増していく。

が、我慢してまた吸う。

その姿が愛しくて
思わず三村を後ろから抱き締めた。


「ん、なに?」

「可愛すぎんだよお前」

「何だよいきなり…バ、バカじゃねぇの?」


三村がそう言って俺の腕から離れる。
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