ver.ボケ

□★-愛の印
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「はーい、お疲れー」


今日は内さまの収録日。

仕事終わり、すっかり恒例になった
打ち上げに行くことになった。

今日のメンバーは、
レギュラーの俺ら3人と
ゲストに来ていた宮迫だ。

行き付けの居酒屋の個室に
4人で入り、各自座る。

内村さんが奥に座り、
その向かいに俺が座る。

ここで、いつもなら
慣れなのか当たり前のように
三村が俺の左側に座ってくるはずが
今日は何故か内村さんの隣に
笑いながら腰を下ろした。

少し不満気になる俺。

が、内村さんの前なので
我慢することにした。


「大竹さん、隣失礼しますー」

「…おう」


流れ的に宮迫が俺の隣に座る。

三村の向かいの席。

ここで気づく。

内村さんは三村の隣、
宮迫は三村の向かい。

相方の俺が一番三村と
接しない席にいる。

…なんだよ、アイツ。

そんなことを考えながら
三村の方を見ると楽しそうに
内村さんとメニューを見ていた。

しかもメニューのページの
右側を内村さんが持って、
左側を三村が持って。

あれはいつもなら俺と三村、
二人でやっているやつだ。


「それにしても珍しくないですか?三村さんが大竹さんの隣におらんなんて!」


宮迫が笑いながら、俺に言う。


「いや、野郎同士のコンビが毎回隣とか決めてたら気持ちわりーだろ。」


と言いつつ、本当は今すぐにでも
内村さんと席を交換したい。

または宮迫と三村が交換してほしい。


「宮迫、お前内村さんの隣行かなくていいの?俺らはいつでも話せるけどお前は滅多にないし…」

「そんな、気遣いせんでええですよ!」


こ い つ 。

お前が気遣え馬鹿野郎。
俺は三村の隣に行きてーの!


「ねー、大竹さん達まだ決まんないのー?」


三村が俺と宮迫に言う。


「早くしろよー」

「お前決まってんの?」

「俺と内村さんはウーロンハイですよねー」

「ねー」


いらいらいら。

ねー、じゃねんだよ。
俺以外と仲良くしてんじゃねぇよ。

くそ、相手が内村さんじゃなかったら
今すぐにでも席交換させてんのに!


「宮迫、何にする?」

「俺は大竹さんと一緒にします!」

「じゃ、水割り」


呼び鈴を鳴らし、店員を呼ぶ。

待ってるうちに俺以外の3人が
今日のディレクターの失態話で盛り上がり始めたが
今の俺にはそんな話が頭に入らないくらい苛々が渦巻いていた。

しばらくして店員が個室のふすまを開ける。

3人が盛り上がっているので、
俺が注文することにした。


「ウーロンハイ2つと焼酎、水割り2つ」

「水割り2つと…?」

「ウーロンハイ2つ」

「はい?」


祝日のせいか、個室の外が騒がしく
廊下で注文を聞く店員には
俺の声が聞こえにくいようだ。

俺は三村のことで苛々していたので
店員の対応に余計苛々が増してしまった。


「だーかーら!ウーロンハイ2つだっつってんの!」

「は…はいっかしこまりました!」


不覚にも怒鳴ってしまった。

店員がおどおどしながら出ていく。
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