ver.ボケ

□★-くすぐったい
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「大竹、ちょっとこっち向いて」


ここは、とある旅館。

今日は1泊2日で地方ロケの撮影。

俺と三村の部屋は一緒だ。


「ん」

「目だけじゃなくて!顔だよ!」


うるっせぇな。疲れてんのに。

つーか、俺の顔なんて毎日毎日
飽きるくらい見てんだろ。


「んだよ」

「あー、やっぱりなー」


三村が俺の顔と鏡に映る自分の顔を
困った顔で見比べている。

なにやってんだ、コイツ。


「なんで俺は耳が見えないのかな?」

「は?」

「いや、大竹さ、この前俺を正面から見ると耳がないって言ったじゃん?」


あー、そういえば言ったかもな。
そんな事まだ気にしてたのかよ。


「なんで大竹は見えんの?」

「知んねーよ。お前の耳、後ろにぺちゃって付きすぎなんじゃね?」


そう言って三村の耳をつつく。


「わ…っ、お前!」

「なんだよ」

「くすぐってぇから触んな!」

「…は?」

「耳!触られたらくすぐってぇの!」

「ははっ」


思わず吹き出す。
コイツ耳弱ぇのかよ。

俺の手を阻止しようと必死に
自分の手で耳を隠す三村が
なんか妙に可愛い。


苛めたくなる。


「触んねぇから、もっかい見してみ?」

「本当かよ」

「早く」

「触ったら怒るかんな」


三村が恐る恐る手を話す。


「あー、なるほどね」


と、見てるふりをしながら
顔を耳に寄せていく。


「え?なに?なんかわかった?」


鏡越しに映る俺を見ながら
聞いてくる三村。

そっと耳に息をかける。


「ふー」

「は…わっ…あ!」


最高にいい反応(笑)

三村は慌てて立ち上がり、
また耳を押さえ、俺を見た。


「お前!何してんだよ!」

「見てただけだけど」

「もうまじで怒るかんな!」

「なんでだよ、触ってねぇだろ」

「あ…確かに」


馬鹿だなぁ、コイツ。

まじで可愛すぎて
俺もうやばいかも。
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