報われない住人達の部屋

□隙間時間
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私が本を読んでいる時
私が携帯をいじっている時

そういう時には彼は膝枕をせがんでくる

ひどく疲れている時や
ただ私と触れ合っていたい時なんかには、必ず

膝枕をしている時は何をするわけでもなく
暫くすると寝息をたて始める

気まぐれに訪れてきては去っていく
猫のようなものだとぼんやりと考えた

けれど、私の膝の上で少年の様な顔をして寝ている彼を見ると酷く、可哀想で、甘やかしてあげたいような、そんな気分になる

私の膝の上で平穏と安らぎを得られるなら
いくらでも寝ている彼の頭を撫でていてあげたいと、そう思う

いつもは飄々とした、人を食ったような性格の彼のごく稀に見せる
すごく人間らしい姿

いつもの様に彼は寝息をたて始めた。

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