坊主と私と○○○
□坊主と私と日常風景
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早朝。
小高い山の中腹にある寺の境内には町よりも些か早く優しい朝日が射し込んでいた。
まだ朝露も瑞々しく光輝く時間帯。
吐く息もどこか冴え冴えとした清々しい皐月の朝に、大きな怒鳴り声が響いた。
「てめえら、俺の作った飯が食えねえとはどういう了見だ。ああん」
ドスのきいた、まるで任侠者のように凄むのは寺の住職である大谷 一宗その人だ。
着古したグレーのスウェットに可愛らしい熊がプリントされたカラフルなエプロンを身に着けた住職は、食卓にて声を張る。
その声に反抗するように金髪の青年が声を張り上げた。
「主食が白米なのにおかずも白米ってアホかっ」
「なにおう。檀家さんがわざわざ持ってきてくれたありがてえ米だぞ、残さず食え。しかも主食はコシヒカリ、主菜はアキタコマチ。どっちもぶらんど米だ、どこに文句がある」
「ありまくりだっ」
住職の言葉に食卓にいた坊主たちが反論の声を上げた。
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