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□2 〜天使は誰だ〜
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『キンイロノ』


「・・・さすがに疲れたか。」
四課の面々への謝罪や
傘下へ入る為の処理で
三日程動き続けていた友梨奈が
ベッドで眠っているのを見た愛佳は
そう呟きながら冷蔵庫を開け
ビールを取り出した。コップに注いでいると
友梨奈が顔を歪め呻き始めていた。
愛佳は水を手にしてベッドへ近付くと
友梨奈の肩を揺すった。
「・・・ぴっぴ・・・」
「は?」
寝起きで呟かれた言葉に
志田が目を丸くすると
友梨奈は慌てて布団で顔を覆った。
「嫌な夢でも見た?」
そう言いながら起こして水を渡した。
「・・・ちょっと・・・」
受け取った水を口に含んだ友梨奈は
再びベッドへ体を沈めた。
「この三日間動きっぱなしだったから
疲れが出たんでしょ。」
そう言って立ち上がった時
上着の裾を掴まれた。
「どうした?」
「あのさ・・・」
「ん?」
「ぴっぴって呼んでいい?」
「さっきも一回言ってたけど
そのぴっぴって何?」
「志田さん似てたから・・・」
「誰に?」
「・・・子供の頃飼ってた猫。」
「ねこ?」
友梨奈が頷くと
「まあいいけど・・・」
と苦笑いを浮かべた。
まもなくして友梨奈から寝息が聞こえると
愛佳は注いでいたビールに手を伸ばした。
「・・・あだ名って初めてだな。」
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