BAD GIRL BLUES

□SERIES 9
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『STEPPERS -PARADE-』


夜中に優子は
ゲキカラからの電話を受け
病院へ急いだ。
病院の手術室の前には
ゲキカラが立っていた。
「ブラックが刺されたって。
本当か!?」
ゲキカラは頷いた。
「何でまた?」
「分かりません・・・
救急の人から電話があって
履歴の最後が私だったんで・・・」
「そうか。」
優子はそう言うと
ゲキカラの肩に手を置いた。
「サド達にも召集かけた。
お前はブラックの傍にいてやれ。」
「でも・・・」
「私達が必ず逮捕する。
だから心配すんな。」
「・・・はい。」
ゲキカラは優子を見ると
敬礼した。
「それじゃ私は捜査に向かう。」
優子はもう一度笑顔を見せて
その場を後にした。
玄関を出た時
サドから電話が入った。
「何だ?」
『ブラック刺した男
逮捕しました。』
「早っ!」
『署に向かう途中
不審者いたんでバンかけたら
自供しました。
これから取り調べです。』
「分かった。私もすぐ行く。」

優子が署に着くと
サド達が待っていた。
「さっき奈和を行かせました。」
「そうか。」
優子はサドと取調室の隣の
マジックミラーの部屋に入った。
奈和の向かいに座っていたのは
二十代半ばの男だった。
「名前は栗谷達二。
大学を二浪した後
バイトも長続きしなくて
ムシャクシャしてたそうです。」
すると優子は鼻で笑った。
「大層な御身分だな。」
優子はそう言うとその部屋を出た。
「アキチャ。拳銃貸せ。」
「はい?」
「リボルバーはブラックの他に
お前のだけだ。」
気圧されるようにアキチャが
パイソンを渡すと優子は
銃弾を外して取調室へ入った。
「優子さん!?」
驚く奈和をよそに栗谷に近付くと
頬を殴り飛ばし
髪を掴んで机に叩きつけ
パイソンの銃口を頭に押し付けた。
「今ちょっと仲間傷つけられて
ムシャクシャしててな。
気晴らしにお前殺す。」
「やめろよ・・・」
「お前だって同じ事したんだろ?」
「悪かった!反省してる!」
栗谷が慌てたが
優子は引金に指を掛けた。
「優子さん!!」
銃弾が入っていないパイソンは
撃鉄が下りて空振りした。
奈和が腰を抜かしへたり込むと
優子は放心状態の栗谷を
近くの壁に投げ飛ばし
胸倉を掴んで
銃口を額に押し付けた。
「ブラックが死んだら
今度は弾詰めて同じ事するからな。
覚えとけ。」
優子はそう言うと
取調室から出て行った。
サドが電話を切って
優子に歩み寄ってきた。
「ブラックは
命に別状無いそうです。」
「そうか。」
「やり過ぎじゃないですか?」
「これ以上仲間が死ぬのを
見たくないんだ。
どんなことしても。」

ブラックが目を開けると両端に
優子とゲキカラが見えた。
「優子さん・・・
ゲキカラ・・・」
体を動かそうとすると
刺された脇腹が痛んだ。
「無理しないで。」
ゲキカラが寝かせると
「災難だったな。」
優子が口を開いた。
「犯人は逮捕した。
単なる通り魔だったよ。」
「すいません・・・
迷惑掛けて・・・」
「こんなの迷惑なんかじゃない。
目の前で死なれる方が
よっぽど迷惑だ。」
優子はそう言って
ブラックの額を撫でると
「ゆっくり休め。」
と告げて病室を後にした。
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