BAD GIRL BLUES

□SERIES 9
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『嗅覚』


抱えていた案件を終わらせた
ネズミは急いで実家へ帰ると
靴を片付け自分の部屋へ入り
電気も点けずに息を潜めた。
仕事を終えたサドが帰宅すると
ネズミは音を立てないように
部屋から出てリビングに向かった。
電気が点いていたリビングを
そっと覗くと
優子達も来ていた。
「優子さ!?・・・!」
思わず姿を現したネズミに
優子達は目を丸くした。
「ネズミ!?来てたのか!?」
キッチンにいたサドは
いつものようにネズミを見た。
「やっぱり来てたんだ。」
『え?』
サドの言葉にネズミだけでなく
優子達もサドを振り返った。
「知ってたの?」
「家に入った時にね。」
「何で?靴もちゃんと隠して
部屋の電気も消してたのに。」
するとサドは何も言わずに
自身の鼻を指して笑った。
「もう!」
ネズミは頬を膨らませながら
サドに駆け寄りしがみついていた。
「・・・ココに来て
何か違う匂いとかしたか?」
優子は小声でブラック達に聞いた。
「いえ・・・何も・・・」
「犬並みだな。嗅覚。」
「ネズミの時だけですけどね。」
「ストーカーよりも上だな。」
優子は苦笑いを浮かべた。

深い夜
ネズミはサドのベッドに
横になっていた。
「せっかくお姉ちゃん
驚かせようと思ったのに。」
「匂いまでは隠せなかったね。」
サドはそう言いながら
ネズミの隣に横になった。
ネズミは振り返ると
サドの腕を自身の頭の下に置いた。
「一晩コレね。」
「はいはい。」
頭を撫でられるとネズミは
笑顔を浮かべながら目を閉じた。
「おやすみ。」
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