BAD GIRL BLUES

□SERIES 9
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『LIFE』


サドが優子を探していると
喫煙室でうたた寝している優子を
見つけた。
「全く・・・」
溜息を吐きながら中へ入ると
優子は魘されていた。
「優子さん?」
肩を揺すると
優子は突然目を見開いた。
「・・・夢か。」
顔を拭いて大きく息を吐くと
タバコを取り出した。
ライターを持つ手が
震えているのが見え
サドは自身のマッチを点けた。
「悪い。」
優子はタバコに火を灯すと
紫煙を吐き出した。
サドは何も言わずに隣に座った。
「・・・初めてだったんだ。」
優子が不意に口を開いた。
「初めて?」
「一気に二人も・・・
部下なくしたのが・・・」
「そうでしたね。」
「しかも・・・
有華は見殺しだ・・・
何も出来ずに
死ぬのをただ待つだけ・・・」
優子の目に涙が浮かんだのが見え
サドは優子の頭を抱き寄せた。
「落ち込まないで下さい。」
「サド?」
「上に立ってるんなら
真っ先に元に戻らなくちゃ
私達が迷うんです。」
サドは優子の頭を撫でると
立ち上がった。
「まだ仕事残ってますよ。
優子さん今日は
麻友と呑むんですから
早く終わらせて下さいね。」
そう告げて喫煙室を後にしていた。

その夜静かなバーで
優子とネズミは呑んでいた。
「・・・なあネズミ。」
「何ですか?」
「サドは大丈夫だったのか?」
「大丈夫って何がです?」
「シブヤって親友だったんだろ?
自殺なんかして・・・」
「・・・大丈夫なわけ
無いじゃないですか。
しかも優子さんまで倒れて。
お姉ちゃんがどれだけ
辛かったと思いますか?」
「そうか・・・
それは悪かった。」
「お姉ちゃんそういうの
人に見せないからさ。
シブさんもあんまり
つるむのハズいって言ってたけど
なんだかんだあの二人
楽しそうだったんですよ。」
「悪友ってヤツか。」
「ええ。」
「・・・ホントに悪かったな。
私も頭の中グチャグチャで
訳分かんなくて。」
「だからこれからは
本当にお願いしますよ。
お姉ちゃんを助けられるの
優子さんしかいないんですから。」
「・・・分かってる。
必ず助ける。サドだけじゃない。
もう誰も死なせない。」
優子はそう言うと
ネズミとグラスを合わせた。

サドはその夜
シブヤと涼子の写真の前に
グラスを置きシブヤが好んでいた
カクテルを注いだ。
「・・・今頃は涼子先生と
笑い合ってんだろうな。」
サドは小さく笑って
自身のグラスと合わせた。
「・・・楽しみは
後に取っとくもんだよな。」
サドはそれからしばらく何も言わず
カクテルを口に流していた。
「・・・悪いけどもう少し
私の事笑っててくれよ。」
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