マジすか

□その他
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チームホルモン五人掛かりでも
四天王のシブヤに勝つのは
至難の技だった。ホルモン達は
顔中血や痣だらけになっていたが
シブヤの顔にもいくつかの痣が出来
息も上がっていた。
「まだやんのか?」
シブヤが口を開いた。
その声に応じるように
バンジーが飛び掛かった。
しかしバンジーは
殴り掛かった拳をかわされると
頬を殴られて腹を蹴り飛ばされた。
その勢いで壁にたたき付けられた
バンジーはそのまま気を失った。
直後に今度はシブヤが
ヲタ達に向かってきた。
ヲタがやられると思った瞬間
急にシブヤが止まった。
シブヤの腰に
ムクチがしがみついていた。
「なんだよテメエ!離せよ!」
シブヤに殴られても蹴られても
ムクチは強く目を閉じて
離れようとはしなかった。シブヤが
ムクチに気を取られていると
ヲタが突っ込んできた。
ヲタは以前に敦子から聞いたように
シブヤに頭突きを喰らわせた。
シブヤは膝から崩れ落ちた。
倒れた感覚を感じたムクチは
ゆっくりと目を開けた。
「ありがとな、ムクチ。」
そう言って
目の前で手を差し延べていた
ヲタを見たムクチは
ヲタの手を取って立ち上がった。
「シブヤ!」
急にそんな叫び声がして振り返ると
横の教室に避難していたトリゴヤが
その教室の前に立って
倒れたシブヤに目線を向けていた。
次の瞬間には
シブヤに駆け寄っていた。
トリゴヤに呼び掛けられたシブヤは
低く呻いただけだった。
「ウワアアァァッ!」
トリゴヤがいきなり叫びだして
アキチャにしがみついた。
アキチャは咄嗟に
トリゴヤを払いのけ
頬を一発殴った。トリゴヤは
背中から壁にぶつかり崩れ落ちた。
アキチャがもう一発殴ろうとした時
不意に 襟首を掴まれ
後ろに勢いよく引かれた。
アキチャが
後ろにいたのが
シブヤだと気付いた時には
既に殴られて倒れていた。
「今トリゴヤ殴ったな?」
その眼は
今までに見たことないぐらい
怒りに満ちていて
アキチャ以外見えていなかった。
シブヤは
アキチャが体を起こした瞬間
腹を蹴り上げた。
「オメエらの相手は
アタシだろうがよ!」
シブヤはアキチャの胸倉を掴み上げ
幾度となく顔を殴りつけた。
「もうやめろ!」
ウナギがそう叫んで
シブヤの腕を掴んだが
「邪魔すんじゃねぇ!」
とシブヤが叫び
ウナギを蹴り飛ばした。
「オメエも一緒に殺してやるよ。」
アキチャもウナギも
そこから一歩も動けずにいた。
その時トリゴヤが
シブヤの腰にしがみついた。
「もういい!もう止めよシブヤ。
私達の負けだよ。」
「フザケるな。まだ終わって・・・」
「忘れたの?!
優子さんに言われたこと・・・」
トリゴヤにそう言われたシブヤは
振り上げていた拳を
ゆっくりと下ろした。
「そうだったな・・・」
シブヤはホルモン達を見て
「行け。
アタシ達はここで少し休んでく。」
と言って腰を降ろした。
ホルモン達も
それぞれ腰を降ろした。
「私達も
少し休んでっていいですか?」
ヲタはシブヤに向かって
静かに言った。
「・・・勝手にしろ。」
そう呟いたシブヤの肩では
トリゴヤが眠っていた。
ヲタは
廊下に寝そべった。

−第一試合
●シブヤ・トリゴヤ
vs
○チームホルモン


最初に頬を殴ってから
学ランはブラックの顔を
仕留められずにいた。
ブラックの動きに
学ランがついて行けずに
一方的に殴られるだけだった。
歌舞伎シスターズは
鳩尾を殴られたのか
二人共倒れていた。
ブラックは
ずっと一言も喋らなかった。
学ランがもう一度殴り掛かると
すぐに後ろを取られ
背中を殴られた。ブラックが
学ランを殴り少し後ろへ下がった時
小歌舞伎が急に立ち上がり
ブラックの背後を取って
羽交い締めにした。
小歌舞伎と同時に
大歌舞伎も起き上がっていた。
大歌舞伎は
ブラックの目の前へ行くと
笑いながら掌底の体勢を取った。
大歌舞伎がブラックに突っ込み
掌底を打ち込んだ。
ブラックは掌底が打ち込まれる瞬間
小歌舞伎の腕から抜け出していて
大歌舞伎の掌底は小歌舞伎の脇腹に
打ち込まれていた。小歌舞伎は
打ち込まれた勢いで
階段から転げ落ちていた。
「明日香!」
大歌舞伎は思わず名前を呼びながら
階段を掛け下りていた。
小歌舞伎は脳震盪を起こして
気を失っていた。左手の親指には
ブラックのロザリオが
引っ掛かっていた。
ロザリオに気付いたブラックは
一瞬動きが止まっていた。
「テメエ!」
小歌舞伎の姿を見た学ランが
フリーズしていた
ブラックの胸倉を掴んでいた。
そのまま壁に叩き付けると
頬を殴り付けていた。
ブラックは学ランを押し退けると
ロザリオの方へ
歩いて行こうとした。
その姿に気付いた大歌舞伎が
ブラックを睨んでいた。
ブラックはその大歌舞伎は
見えていないようだった。
ブラックは大歌舞伎を無視して
小歌舞伎に近付いていった。
「明日香に触るな!」
妹がやられると思った大歌舞伎は
ブラックの顎を殴りつけ
掌底を打ち込んだ。
ブラックは壁に叩き付けられ
そのまま崩れ落ちるように倒れ
動かなくなった。
ブラックが倒れた直後小歌舞伎が
呻きながら目を覚ました。
「明日香大丈夫か!?」
起きた小歌舞伎に気付いた
大歌舞伎は すぐに駆け寄った。
「姉貴・・・」
大歌舞伎に気付くと
「ブラックは・・・?」
と聞いてきた。大歌舞伎は
横の壁を顎でしゃくった。
大歌舞伎がしゃくった先には
気を失ったブラックが
壁に寄り掛かっていた。
「勝ったよ。」
大歌舞伎がそう言った時
右の脇腹を押さえるようにして
学ランが降りてきた。
学ランは
小歌舞伎の手に引っ掛かっていた
ロザリオに気付いた。
「それブラックが
大事にしてたモンじゃねえか?」
「そう言われれば・・・」
小歌舞伎は そっとロザリオを
ブラックの首に掛けた。
「ホルモン達大丈夫かなあ?」
「アイツら弱いもんねえ。」
三人はホルモン達のほうへ
逆走して行った。

−第二試合
●ブラック
vs
○歌舞伎シスターズ


図書室=決闘場にて
チョウコクの顔は
傷だらけになっていたが
それはゲキカラも同様だった。
二人が違うのは闘っている最中
ゲキカラはずっと笑っていた。
チョウコクに殴られても
楽しそうに笑っていた。
もう一発殴られ後ろに下がった時
間合いが出来た。
血の唾を吐き出したゲキカラは
チョウコクの方を見て
「フフフ・・・
今度は私が行くよー!」
弾んだ声でそう言った。
次の瞬間ゲキカラは
チョウコクに突っ込んでいった。
突っ込んだ勢いのまま
ゲキカラは飛び蹴りを仕掛けた。
チョウコクは
本棚と本棚の間に倒れ込んだ。
ゲキカラは
倒れたチョウコクの前に立つと
本棚から手頃に分厚い本を取り
背表紙で
チョウコクの顔を殴りつけた。
チョウコクは 数発殴られたが
腕を掴んでゲキカラを止め
腹を蹴り飛ばした。ゲキカラは
後ろにあった机ごと倒れた。
チョウコクは
重そうに体を起こした。
起きたチョウコクに
ゲキカラが再び突進してきた。
殴り掛かってくると思った
チョウコクは咄嗟に身構えた。
しかしゲキカラはそのまま
チョウコクに抱き着いた。
そして強く抱き着かれて
身動きが取れなくなった
チョウコクの首に
思い切り噛み付いた。
チョウコクは悲鳴を挙げた。
上手く身動きが取れない
チョウコクは苦し紛れに
ゲキカラの脇に指を喰いこませた。
肋骨の間に入った指で
一瞬怯んだゲキカラを
チョウコクは振りほどき
殴り飛ばした。
チョウコクの肩からは
血が流れ出していた。
倒れたゲキカラも咳き込んでいた。
二人は同時に目が合った。しばらく
そのまま膠着状態が続いた。
しばらくの膠着の後
二人の叫び声と笑い声が
室内に響いた。
「ウワアァァッ!」
「アハハハハハ!」
二人の声が響き合った瞬間
同時に突っ込んでいった。
ゲキカラの拳が
チョウコクの顎に当たった。
直後にチョウコクの手刀が
ゲキカラの首筋に当たった。
二人は同時に気を失い
それぞれの足元に隣り合い倒れた。

先に気が付いたのは
チョウコクだった。
意識は取り戻したが
体は動かなかった。チョウコクは
仰向けになり天井を見上げた。
間もなく
「ン、ンー・・・」
という子供のような呻き声とともに
ゲキカラが目を覚ました。
ゲキカラも
体を起こして来なかった。
チョウコクが口を開いた。
「お前動けんのか?」
「・・・ムーリー」
「私もだ。体が全く動かねえ。」
「疲れたぁ。」
「楽しかったか?」
「楽しかった!」
ゲキカラの声は軽かった。
「私も・・・なんか気が済んだ。」
チョウコクは
溜息を吐きながら言った。
「また今度あそぼー。」
ゲキカラの声に
チョウコクは少し笑った。
「いつでも来いよ。」
二人はまた目を閉じた。

−第三試合
△チョウコク
vs
△ゲキカラ


部室を抜け
ラッパッパ専用の闘技場に
二人は入った。
サドは毛皮を脱ぎ
みなみは後髪を右上にまとめて
結んだ。
先に殴り掛かったのは
みなみだった。みなみは
サドの右頬を殴り飛ばした。
しかしサドの体は
その場から一歩も動かなかった。
殴り飛ばされ
横を向いた顔を戻したサドは
みなみに向かって
口許だけで笑ってみせると
腹を蹴り飛ばした。小柄なみなみは
簡単に吹っ飛んだ。
みなみは床に倒れ咳き込んでいた。
今まで
敦子と一緒に倒してきた相手とは
比べ物にならないくらい
重い一発だった。
みなみは起き上がり突進した勢いで
サドの腹を蹴り飛ばした。
サドは数歩よろけながら下がった。
「もう終わりか・・・?」
サドはそう言いながら笑っていた。
「それじゃ
今度はこっちから行くぞ。」
サドはそう言うとゆっくり歩いて
みなみの前に立った。
サドの威圧感に少したじろいた
みなみの右頬を殴った。
よろけたみなみが倒れる前に
胸倉を掴みもう一度右頬を殴った。
間髪入れずに
胸倉を離し左の頬を殴ると
みなみは倒れ込んだ。
起き上がろうとするみなみの
腹を蹴り上げると
みなみは仰向けに倒れた。
「そんなもんじゃねえだろ?」
そう言ったサドに
もう一度胸倉を掴まれると
みなみは右手を振り上げた。
しかしその右手はサドに止められ
腹に膝を打ち込まれた。
崩れ落ちそうなみなみは
なんとか踏ん張りサドを睨んだ。
直後に左から殴ると
サドの首に当たり
サドはみなみの胸倉を手放し
倒れた。みなみも膝が床に着いた。
サドは首を殴られ
若干息が出来なくなっていた。
みなみはサドの上に乗り
顔を殴り始めた。
サドは殴られている中
みなみの左のこめかみを殴り飛ばし
みなみは再び倒れた。
今度は脳が揺れているようで
すぐには起き上がれなかった。
その間にサドは起き上がり
みなみの顔を踏み付けた。
「テメエみてえなチビに
負けてたまるかよ・・・」
サドは少し掠れたような低い声で
そう言いながら
みなみの上にある足の力を
徐々に入れていた。みなみは
絞ったような悲鳴を挙げた。
「優子さんのためにも
オメエなんかには
負けられねえんだよ!」
サドは みなみの顔から足を離し
脇腹を蹴った。
みなみは血の唾を吐きながら
咳き込みながら
脇腹を押さえうずくまった。
サドは鼻で笑うとみなみに背を向け
毛皮を取りに行った。
みなみの体は全く動かなかった。
痛みと吐き気が込み上げてきた時
頭に浮かんだのは妹以外で初めて
守ってやりたいと思った
敦子の笑顔だった。
その笑顔が浮かんだ瞬間みなみは
右手を握り締め
思い切り床を叩いた。
その音に気付いたサドが振り向くと
みなみがふらつく足で
立ち上がっていた。
「・・・アタシも・・・
敦子のために・・・負けられない。」
そう言ったみなみの眼は
強くギラついていた。
サドは手にしたばかりの毛皮を
もう一度置いた。みなみはもう一度
サドに突っ込んだ。最初と同じ
みなみの右の拳を
サドは紙一重で躱した。
しかしみなみは
そのまま右拳を振り戻した。
みなみの裏拳がサドの顎を捉えた。
サドは驚いた顔を見せた。同時に
膝が崩れた。直後に
みなみの飛び蹴りが
サドの胸に直撃した。
サドは後ろに転がった。
みなみも上手く力が入らず
片膝を着いた。サドに攻撃するたび
体のあちこちが悲鳴を挙げていたが
気力で持ちこたえていた。
サドが起き上がるとみなみが
一足早く目の前に来ていた。
みなみは サドの腹を殴り
頭突きを喰らわせた。
少し膝が折れたサドの
その膝を台にして跳んだみなみは
サドのこめかみに
膝蹴りを打ち込んだ。
サドが横に倒れた。
みなみは着地すると
ふらついて崩れ落ちそうな膝を
叩いて倒れるのを我慢した。
「これなら大丈夫か・・・」
サドがそう呟いて
なんとか立ち上がった。
二人は一度睨み合うと
叫びながら走り出し
二人共右の拳を握り締め
殴り掛かった。
みなみの拳はサドの腹に命中し
サドの拳はみなみの束ねた髪を
掠めた。
先に倒れたのはみなみだった。
直後にみなみの上に
サドが倒れ込んだ。
一発に全精力を注ぎ込んだ二人は
共に気絶していた。
闘技場はひどく静かになった。

−第四試合
△サド
vs
△みなみ
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