連載駄文

□赤い石の軌跡
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耀く未来は 僕のために

愛しい記憶は 君のために

想いは今でも色褪せない

あの日の約束 胸に 僕らは結末を築いていく


(※『Result』より)





【赤い石の軌跡】



待ち続けたその光を


この手に掴んだのなら


赤い石に誓う


もう二度と離さないと














「気をつけて」

アスランは穏やかに微笑んで、少し大きめの鞄を差し出した。

「はい、ありがとうございました。色々と…」

鞄を受け取った女性は、小さく頭を下げた。
重力に素直な赤い髪がさらりと揺れる。

「それは俺のセリフだよ、メイリン」

笑みを崩さないままで、窘めるようにアスランが告げると、メイリンは悪戯に笑って、ある意味そうかもしれませんね、と舌を出した。
事実、アスランはメイリンに数え切れないほどの恩がある。
それは八年前、ザフトを脱走する際に助けてもらったという大恩から、その後のオーブ軍での仕事の補佐、日々の食事に至るまで、メイリンはアスランの手助けを細かくこなしてきた。
その様は、恋人としてのそれではなく、例えるなら世話焼きの妹といったところか。

「君には本当に感謝している」

今度はアスランが深々と頭を下げた。

「やだ、やめて下さいよ」

慇懃な態度を取るアスランに、メイリンは慌てて両手を小さく振ってそれを遮った。

「全部わたしが勝手にしてた事ですから」

アスランが放っておけなかった。
最初こそ、それは恋だった。
優しく笑う瞳の奥に、寂しさを宿す彼が気になって仕方なかった。
自分がその癒しになれはしないだろうか、そんな事を思う日々だったけれど、ある日それは叶う事のない夢だと知った。

それはオーブとプラントが停戦協定を結んだすぐ後の事だった。
モニターに映し出されたオーブの代表の演説を誰もが食い入るように観ていた時、メイリンの胸に衝撃が走った。
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