連載駄文

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突然の事だった






「アスラン、お前に見合いの話が上がっておる」




父の言葉はアスランとカガリの心を激しく揺さぶる









【忍ぶれど、恋は激しく。2】



「見合いーーー、ですか!?」


久しぶりに家族四人が揃った食卓は、いつもより皿の数も多く、中央には花まで生けられてあった。
華やかな食卓に比例するように、個々の口数も増え、賑やかな時間が流れる中、父は突然見合い話を口にして、皆を驚かせた。
中でも一番驚いたのは当然当事者であるアスランだ。
そして、急に口数を減らした彼の義妹ーー、そして恋人でもあるカガリ。


「父さん、ちょっといくらなんでもいきなり過ぎない?」


動揺するアスランの変わりに、年齢は同じだが、誕生日の都合により義兄にあたるキラが口を挟んで、冷静に話を続けてくれる。


「だってまだ十七だよ?お見合いって……」

「うむ…。確かにな。私もそう思って先方に申し出たのだが…」




『ウズミ様、そのように堅くお考えにならずに。
娘はどうしてもご子息に会って話がしてみたい、と。まだ十五の娘の考える事です。
もし当人たちの気が合えば、婚約という形をとっては如何かと、そう申しているのです』




ウズミは今日言われたばかりの話を思い出しながら、アスラン達に説明した。


「なんだ、相手も子供なんだ。でもどうしてアスランなの?」


キラがもっともな疑問を投げかけた。


「先日、お前たちを連れてパーティーに出席しただろう?」

「あぁ、何とかっていうお嬢さんの誕生パーティーだっけ?」

「ルナマリア嬢だ、キラ。お前も私の跡を継ぐ身。今からしっかりと交友関係を築いてもらわねば困るぞ」

思わぬ所でたしなめられたキラは、はぁいと幼子のように小さく返事をした。


「アスラン、相手はそのルナマリア嬢だ。そなたを一目見て好意を抱いたようだ」

「……ホーク家の…、では…」

「うむ、お前は聡いな。
そう。ホーク家とは代々アスハと親交の厚い家。あまり無下には出来ん」


アスランはカガリを一瞥したが、彼女は俯いていてその表情を窺うことは出来なかった。


「ね、気が合えば婚約なんでしょ?じゃぁさもし気が合わなかったら、何も無かった事に出来るの?」


少しおとなしくしていたかと思えば、また口を挟むキラ。
しかし、質問攻めにしたいくらい聞きたい事があっても、体が震えてうまく言葉が出せそうにないカガリにとってはありがたい事だった。


「…そう簡単にはいくまいて。人の気持ちが関われば尚更だ。
しかし、アスラン。私はそなたの気持ちを無視してまで無理に進めようなどとは思うてはおらん。…わかるな?」


それは父らしい、愛情のこもった言葉であった。


「はい、ありがとうございます」


つい口元が綻ぶアスランは、この人が父で良かったと心底思うと同時に、やはりこの人だけは裏切れないと再認識してしまった。


「でもさ、アスラン。僕は会ってみてもいいんじゃないかって思うよ?」

「キラ?」


その真意を知りたいという視線をキラに送ると、キラは頷いて続ける。


「だって君、モテるのに今までそういうの一回も無いじゃない?」

「いや、それは…」


それは、勿論カガリがいるからだ。彼女以外に興味は無いし、彼女でなければ意味が無い。
けれどそれをここで言うことだけは許されない、とアスランは口をつぐんだ。


「僕も君も十七だよ。もし誰か思い当たる人が居ないのなら、これも出逢いの一つだよ。
ルナマリアさん、可愛かったしね」


じゃぁお前が行ってくれよ、と喉まで出かけたが、ぐっと飲み込み、またカガリを見やるが、やはり顔を合わせてはくれないようだ。

言ってほしい。

嫌だ、と。

この場で言う事が出来ないのはわかるけれど、
どんな言葉でもいい。
反対してくれるのなら…
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