連載駄文

□Magic★Girl
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ある日目覚めたら、


おかしな女がいた。






『Magic★Girl』



ーーー…ラン!…アスラン!起きろ!

アスランの瞼はそれまで気持ち良く閉じられていたが、密度の高い睫毛が微かに震えると、次に聴覚が脳内に響く声をぼんやりと捉えた。

「……ん、母上?…今日は休日ですので……」

もう少し…、とアスランは寝返りをうつと同時に掛け布団を頭まで被り、またすぐにすうすうと寝息を立て始めた。

「あ!こらーーー!!起きろぉーーー!!」

耳につん裂く声と同時にアスランをくるんでいた掛け布団をガバッと剥いで、声の主は何と勢いよくアスランに馬乗りになった。

「ぅわっ!!何するんですか…ははう…え……ぇぇぇえええええ!!????」

突然の衝撃と重みにも驚いたのだが、アスランをもっと驚愕させたものーーー
自分を起こしに来たのは、当然の如く母親だと思っていたが、実のところ全く見知らぬ少女だったのだ。

「だっ、だっ、誰だ君は!!?」

アスランは警戒心を丸出しにして、少女から退く。間抜けなことに勢い余ってベッドから転げ落ちてしまうほどの慌てぶりだ。
見知らぬ少女が寝起きに、馬乗りになってきたのだ。無理もない。

「ふむ。女が同じベッドの上にいると転げ落ちる…か。調査通りだな。
もしやその後はあれか?急いで服を来ている途中で、別の女にそれを見られ勘違いをされるという、女難が…?いや、待てよ、それはまた違う話か?…いやいやそれとも…」

転げ落ちた衝撃さえ感じぬほどに驚きで頭がチカチカするアスランをよそに、少女は手元に持った小さな冊子を見ながらぶつぶつと呟いている。
アスランはただぽかんとその様子を眺めていたが、直ぐに我に戻り、非現実的なこの状況に声を荒げた。

「だからっ!誰なんだ君は!他人の家で何をしている!場合によっては警察を…」

相手は同じ年頃の少女だ。力で勝てない相手ではない。
アスランは怯むことなく再びベッドに体を乗り上げると、彼女の腕をやや乱暴に掴んですごんでみた。
しかし少女はアスランとは対象的に、あどけない笑顔でこう告げた。

「私はカガリ!カガリ・ユラ・アスハ!今日からお前とここで住む事になった。よろしくな」

「なっ……!」

(何を言っているんだ、コイツは??)

頭が眩む。それを寝起きのせいにしてしまいたいと思うアスランにもう一つの追い打ちが放たれた。

「あ、ちなみに私、魔法使い見習いだ!」

「ーーは??」





ーーーーこれが、俺とカガリの出会いだった。
この日を堺に俺の生活は非日常のものへと変わっていった。






カガリ、君が与えてくれた沢山の幸せ…。
俺は少しでも返せたのかな……







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